エンジニアの中国ブログ

中国の広東省在住、現地企業勤務のエンジニアです。中国生活で体験したことや趣味の話を中心に発信していきます!

【Before手鍋焙煎】自宅用コーヒー焙煎器具の「煎り上手」と「手網」の違いを比較検証【レビュー】

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左が煎り上手 (発明工房)、右が手網 (新越ワークス)

 

以前に下記のような自家焙煎に関する記事を書きました。

 

今回、はコーヒーの自家焙煎をこれから始めようとする人の多くが迷うのではないかと思われる焙煎器具についてのトピックです。

焙煎器具にはいくつか種類がありますが、ここでは現在私が使用している煎り上手手網を比較検証してみます。

焙煎器具選びに迷っている方のご参考になれば幸いです!

 

煎り上手と手網の違い

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まずこれらのような手軽にコンロで焙煎する器具 (コンロの上で焙煎器具を持って振るだけ) に望ましい特性で、特に重要なものを3つ挙げると次のようになります。(実際に半年以上使ってみた経験から)

  • 煎りムラが少ない
  • 再現性が高い
  • 焙煎できる量が多い (大体120〜180gが目標)

 

上記に挙げた3つの特性を一つずつ見ていきます。

【煎りムラ】

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多少の煎りムラに関しては私の舌では違いがわかりませんので、極端なケースの話です。(上の写真でいうと極端に黒いような豆です。特に平べったい側が焦げやすいのですが、焦げた豆が入っていると私でも飲んでわかります (これは取り除かないとマズイです...))

煎りムラの原因に関しては、仕込む豆の量の過不足、攪拌不足、火の強さ、直火 (特に焦げやすい) が挙げられます。

 

仕込む豆の量の過不足

仕込む豆の量と煎りムラの関係は煎り上手と手網に共通で、量が多すぎれば豆が器具内で攪拌し難くなるのでムラの原因になり、また量が少なければ熱が逃げやすいため強目の火で焙煎にすることになり、これもまたムラの原因になります。

強火と弱火を比べると強火の方がムラになりやすいですが、弱火で時間を長くとるとコーヒーの風味が弱くなっていきますので、適当なポイントを自分で見極める必要があります。

仕込み量に関しては、適量は煎り上手で50~70gといったところで、手網に関しては各種サイズがありますが (私が使用している手網は底の直径が14㎝ほどですが、仕込み70~100gといったところです)、コンロのサイズに対して大きすぎる手網を使用すると、これもまたムラの原因になりやすいと思います。(手網はスカスカで熱が籠りませんので、強火にすることになり、より難しくなります)

 

攪拌不足

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上の写真は左が煎り上手で右側が手網です。

写真を見てわかりますように煎り上手には底がフラットではなく、真ん中がやや鋭角に突き出るような形状になっています。

この形状により煎り上手は左右に振るだけで、豆が効率よく攪拌されるような仕組みです。

 

一方、手網ですが、こちらも写真でわかるように高さ2㎜程度の突起部が底に形成されていますが、この程度では豆の攪拌にはあまり役に立たず、焙煎時には左右の縁に強く豆を当てて攪拌するような感じになります。

はっきり言って、手網の方が疲れます...

下記のブログの方のように網の形状を自分でカスタマイズされている方もおられますが、気持ちはよくわかります。

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 手網焙煎入門〜家でサードウェーブコーヒーを再現する方法〜 | オニマガ

 

なので、煎り上手と手網の購入時の状態では煎り上手の方が攪拌効率は高いわけですが、手網の方は自分でカスタマイズする楽しみはあるかもしれません。

 

火の強さ

火の強さは当然ですが、煎りムラに大きく影響します。

火の強さが強いほど焙煎反応が早く進むためより早い攪拌が必要になるのに対し、火を弱くすると焙煎反応はマイルドになるので攪拌もその分ゆっくりでよくなります。

しかし、火の強さをある程度強くして手短に焙煎を終了しないと、風味も減ってしまいますので、ここのバランスが重要になります。

上で見たように攪拌自体は煎り上手の方が効率がよいので、煎り上手の方が強火を使いやすいです。

手網で強火を使うと攪拌にかなりの労力を要し、はっきりいって再現性は煎り上手よりも低いかなという印象です。

 

直火

そもそも煎り上手を先に購入した私がさらに手網を購入した理由が「直火」です。

直火で焙煎すると風味がどう変化するのかなと純粋な興味からです。(手網は安いですし...)

ですが、これは失敗でした...

直火で焙煎するのは難しく、ムラどころか、簡単に焦げたり燃えたりします... (煎り上手と同じ感覚でやると火が出ます...)

 

調べてみると、火を当てないように熱風で焙煎しなければならず、手の高さもより高いところで手網を振り続けなければなりません。(手網は冷えやすいので、サイズが大きいとコンロもそれに比例して大きなものが必要になると思います)

焙煎の最後に表面を軽く直火であぶるなどすれば、もしかしたらよいのかもしれませんが、少なくとも焙煎の最初から直火は扱いにくいですね...

一方の煎り上手は豆には金属からの伝熱と熱放射で熱が加わり、容器もある程度は熱が籠る設計なので、加熱の調整がし易く、小さいコンロでも十分に焙煎可能です。

 

以上、煎りムラに関して、その原因である仕込む豆の量の過不足、攪拌不足、火の強さ、直火について詳しく見てきましたが、まとめると下記のようになります。

  • 仕込む豆の量の過不足手網の方が多めに焙煎できる可能性はあるが、コンロのサイズにも依存する。
  • 攪拌不足      :煎り上手の方が攪拌しやすい
  • 火の強さ      :煎り上手の方が強火を扱うのに有利(直火でないのも大きい)
  • 直火        :デメリット多い (手網が不利)

 

というわけで、煎りムラに関しては煎り上手の方が対応しやすく、良好です。

 

【再現性】

再現性に関しては説明するのが難しいですが、主に時間で判断しています。(1ハゼ、2ハゼまでの時間、それに加えて主観的ですが風味も)

これに関しても煎り上手の方が再現性は高くて良好です。

12月のこの時期、手網の方は近く窓を開けて焙煎しても時間が大きく変動しますし、振るのに疲れるので、焙煎の際の火からの高さも一定にし難いです。(私は...)

 

【焙煎できる量に融通がきく】

焙煎できる量に関しては、煎り上手と手網のどちらも融通がきかないですね...

上にも書きましたように煎り上手で50~70g、私の持っている底の直径が14㎝の手網で70~100gといったところで、量が多くても少なくても焙煎に悪影響なので、あまり調整はできません。

現状は、煎り上手の方が簡単なので、煎り上手で何度も必要な分だけ焙煎していますが、何とかしてスケールアップしたいですね。(今後の課題です)

 

【その他】

中身の視認性

上で見てきたように、煎り上手に対して手網のメリットは特性的にはほぼありません。(手網の価格的なメリットは大きいですが...)

あとは私が手網を使用する前に、手網に期待していたことに焙煎時の豆の色の変化がわかり易いのではないかということです。(煎り上手の入り口は狭いですから...)

で、写真で比較してみます。

 まずは煎り上手から。

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このような感じです。

焙煎するときは、一瞬手を止めて、明るい方に中をかざして、豆の色を見るようにしています。

続いて手網です。

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こんな感じです。

ハッキリ言って、中の豆の色の変化は、煎り上手よりも手網の方がわかり難いです。

私が使用している手網は目開きが1.5mmですので、中の豆の色の変化もよく確認したい方は目開きがより大きいものを選択した方がいいでしょう。(例えば目開き2.5mm以上とか...)

また、フタを手元で押さえながら使用するものもあり、このようなタイプであれば途中でフタを開けて中を確認できます。

 

掃除

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コンロ周辺に落ちる薄皮 (チャフ) の量は手網の方が多いですが、掃除機を使えば煎り上手でも手網でも掃除の簡便さは大差はありません

ただし、コンロ周りが油で汚れていると掃除困難ですので、あらかじめ油汚れはできるだけ除去しておいた方がいいです。

 

手網ならスケールアップできるか?

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現状、煎り上手に私が感じている課題はスケールアップです。

大体120〜180gぐらいは一度に焙煎したいと考えています。

手網には直火以外にスケールアップの可能性も期待していたんですが、実際に手網を使用してみて、手網という形態でスケールアップは難しいという印象です。

そこで、ネットで色々探してみて下記の動画の焙煎器に今のところ興味を持っています。

 


コーヒー豆を自家焙煎するよ! ☆ Roasting green coffee beans at home

 

なんか、普通に焙煎してコーヒー飲んでるだけなんですが、すごくおいしそうに見えます。(視聴数が20万超えていますね...)

動画中の回転式焙煎器はアウベルクラフト社製のものだそうです。

今後、さらにスケールアップできそうな焙煎器を調査してみようと思っています。

※追記:調査しました。(答え:片手鍋でした...)

 

自家焙煎初心者にどちらがおススメか?

※追記:私自身の一番のおススメは片手鍋となりました。(気になる方は上記の記事を参照してください!)

実際に煎り上手と手網を使用してみた感想ですが、私としては煎り上手の方が使いやすいので好みです。(火加減をつかむのも早いと思います)

しかし、価格が大きく異なります...(3倍前後でしょうか...)

予算的にOKであれば、これから焙煎をしたい人にはもちろん煎り上手を勧めます。

 

ただし、手網焙煎でも焙煎後に、煎りムラ豆をハンドピックしたりすれば十分に美味しく飲めますし、人によっては苦も無く手網を振り続けられるかもしれません。

ちょっとお試し程度に焙煎したてのコーヒーを楽しみたいのであれば、手網でも全然OKだと思います。

 

下記は私が持っている手網と同じ会社のものですが、フタを指で押さえる形式になっていて、中の焙煎の色は確認しやすそうです。ご参考までに。

 

以上、ご覧いただき、ありがとうございました!

 

 

以降では本ブログのコーヒー関連の他の記事を紹介しています。よろしければどうぞ!

 

下記はお気に入りの直火式エスプレッソメーカーのKamira (カミラ) についての記事です。自宅焙煎した新鮮なコーヒー豆を使用すると、直火式ながらなめらかなクレマもつくれます。

 

下記はカミラのフィルターホルダーへのコーヒーの充填性を改善するために、なんちゃってファンネルをつくった話です。

 

下記は、ロブスタ種のコーヒー豆を使用したときのクレマのつくり易さを、直火式エスプレッソメーカー (マキネッタ) であるカミラで検証した話です。

 

下記の記事では自分なりの手動コーヒーミルの使い方を紹介しています。焙煎したてのコーヒー豆を自分で挽くのは、一番コーヒー豆の香りを楽しめる瞬間だと思います。

 

下記は現在お気に入りのコーヒーミル、Timemore (タイムモア) のG1についての紹介記事です。G1は同社のフラッグシップモデルに相当します。

 

下記はタイムモアのミルのハンドドリップ用とエスプレッソ用の刃の違いを検証した記事です。ここではタイムモアのG1とG1Sで比較していますが、他のモデルと刃の形状は同一なので、傾向は他のモデルにも当てはまると思います。

 

下記の記事はタイムモアのミルのエントリーモデル、タイムモアCについての記事です。ハンドドリップ用に使っています。

 

下記はタイムモアSLIMというコーヒーミルについての記事で、中国の新興企業であるタイムモアのミルを、ドイツの老舗ザッセンハウスが (うっかり?) パクってしまったという話です。

 

下記は、タイムモアのコーヒーミルの普段のメンテナンスについての記事です。普段はほとんどブラシを使った掃き掃除しかしてないです...

 

下記は自宅焙煎を始めた頃の話です。初めから片手鍋に出会っていればとも思いますが、懐かしい思い出です。

 

下記は今回の記事の続編にあたり、コーヒーの焙煎用器具として片手鍋を初めて知った話です。ずいぶん遠回りしてしまいました...まさに灯台下暗しでした...自宅焙煎に興味のある方は是非ご覧ください!

 

下記の記事で紹介している片手鍋が現在焙煎に使用しているもので、上記の記事で紹介している片手鍋よりも鍋底が薄いタイプです。(価格も安いです)

 

下記はあっさりが特徴と言われる雲南コーヒーの紹介です。現在、私のお気に入りの銘柄です。