エンジニアの中国ブログ

中国の広東省在住、現地企業勤務のエンジニアです。中国生活で体験したことや趣味の話を中心に発信していきます!

【TIMEMORE】栗子Xを使い始めて1年半の感想【手挽きミル】

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かなり久しぶりのブログ記事の投稿になりますが、久しぶり過ぎて色々とブログの操作を忘れてしまっていました... (はてなブログのUIの仕様もやや変更されているような?)

心機一転、これから徐々に再開していこうと思います。

 

再開第一回目の今回はTIMEMOREの手挽きミル ”栗子X” についてです。

ちなみに "栗子X" の内刃の裏側には下の写真のように製造年月 (202008) が記載されています。

 

 

202008とは2020年8月のこと、先行予約で購入したのでこれは1st ロットの製造月のはずです。

先日、栗子Xの掃除をしていた際にたまたまこの製造年月の記載が目に入り、早くも使い始めてから1年半以上が経過したことを思い出しました。(ついでにブログのことも...)

そして、その使用過程で学んだことや感想を久しぶりに書いてみたくなったのがブログ再開の切っ掛けです。

 

というわけで、今回は使い始めた当初を返りながら栗子Xをあらためてレビューします。(この時点で栗子X liteやC3などもリリースされているのですが、それら使用の際にも参考になると思います...それにしても改良品が出でくるのが早い...)

ご興味のある方はどうぞご覧ください!

※栗子X liteやC3は別途で紹介予定

 

以前の栗子Xに関する記事はこちら

 

 ハンドドリップ方法|栗子Xに感じた違和感

栗子Xを購入以前の淹れ方

栗子Xを購入する前までは、同じくTIMEMOREのC2をメインに使用しハンドドリップにしていました。(plusシリーズも持っていましたが、そちらはほぼ直火式のマキネッタ専用)
ドリッパーには浸漬式のクレバードリッパー (本ブログ内の記事へのリンク) を使うこと多く、円錐型ドリッパーを使う際はCAFEC式のような淹れ方を手本にしていました。
 
(下記の動画の3:00~ぐらいから実際のCAFEC式の抽出法の説明があります)

栗子Xを試してみて感じた違和感

率直にいうと栗子Xを初めて使ったときの第一印象はあまり良くありませんでした。 (ノーマル刃 (C2) のミルの方が美味しい!?)
キツイというか平坦というか、特定の苦味のような濃い味を強く感じる印象...
”こんなはずはない、使い方が間違っているのか?”と、栗子Xの入手がコーヒーの淹れ方をあらためて考える切っ掛けとなりました。
 
ちなみに粒度に関してはノーマル刃のC2は20~23クリックをよく使っていて、XもC2に近いクリック数から試しました。(16~20クリック程度)
その後、違和感を感じた風味の改善のためメーカー推奨の淹れ方を参考にしながら、淹れ方についてもっと深堀りしていきました...

 

 TIMEMOREの提案の淹れ方|ハンドドリップ方法の探求

ここでは、メーカー推奨の淹れ方について見ていきます。

 

まずは粒度 (クリック数)

下表は中国の動画プラットフォーム ”TikTok” にアップロードされているTIMEMOREの動画からの引用です。(中国では製品の説明書がシンプルな代わりに動画でそれを補うケースが多いです)

 

泰摩磨豆机使用指北 (https://v.douyin.com/FyxE3vX/ )
 
上記は用途に対応した各ミルの推奨の粒度 (クリック数) が記載されています。
”手冲”というのがハンドドリップのことですが、C2 (=栗子C) は18~24クリックに対し、栗子Xは16クリックとあります。(顧客窓口によると、栗子Xの挽き目だけが幅で示されていないことに関しては特に意味は無いとのことでしたが、最近は幅を持たせた表記に改訂されています(別途掲載))

 

ハンドドリップの方法

TIMEMOREが提案しているハンドドリップの方法には、自社のCrystal Eyeドリッパーを使用した方法があります。

下記の動画のような方法で、蒸らし後はリブの上限まで注いでいき、目的の注水量に到達するまでその水位を保つという方法です。(変則的な二投式)

 

TIMEMORE: How to use coffee dripper? | Crystal eyes Dripper | - YouTube

 

見ての通り、土手を作ったりしておらず、日本で昔からあるようなドリップ方法 (例えば先に挙げたCAFECの方法) とは異なります。

こういう淹れ方は私も馴染みが無かったので実践はしていませんでしたが、栗子Xで淹れたコーヒーの第一印象がイマイチだったのをきっかけにこのような方法も試してみることに...

 

【TIMEMORE】変則二投式の淹れ方【Crystal Eye Dripper】 - YouTube

 

上は実際に自分で淹れているところを撮った動画です。繰り返しになりますが、蒸らし後はリブの上限までお湯をため、目的の注水量まで注ぎをキープするだけです。

最後は注ぎ落としで、抽出時間の目安はだいたい2:00~2:30程度です。

最初にペーパーフィルターを濡らすのは儀式みたいなものですが、目的の水位を視認するのにも役に立ちます。(水位はリブの上限に拘る必要はないですが、リブ上限での水位をキープするのが簡単です)

 

ドリッパーのサイズは粉量が15g程度であれば00サイズ、20g程度であれば01サイズが推奨されています。

ドリッパーのサイズが小さいほど抽出速度も遅くなり、00サイズが一番遅いです。また、同サイズのV60よりもCrystal Eyeの方が抽出速度はやや速めです。

 

〈動画中の抽出条件〉

✅ドリッパー:クリスタルアイ、樹脂製00
✅粉量  :15g (中浅煎り)
✅挽き目 :13クリック (栗子X)
✅総注水量:225g
✅水温  :90℃
✅蒸らし :30秒 (注水:30g)

 

最初に感じた風味の違和感の推定原因

上の動画の抽出条件のところに記載しましたが、挽き目は使い始めよりもけっこう細かめになっています。(13クリック付近)

これはTIMEMOREの提案の方法で挽き目を調整していった結果で、風味的にも納得いくものになりました。

このことから推定すると最初の違和感の原因は、ハンドドリップ時の成分の抽出不足だったのではないかと思います。

 

私の場合は一杯取りの15g程度のコーヒーの使用に拘っていたこともあり、抽出不足になり易い条件でした。(20g程度ぐらいの方が円錐型ドリッパーは抽出時間もコントロールし易く感じます)

※焙煎度によって注水量は変えていて、たいてい煎りが深いほど注水量は減らしています。

 

ちなみに栗子Xの推奨の挽き目範囲は下記のように改訂されていました。(最近、気付きました)

出典:タオバオのTIMEMORE旗艦店

補足的なテクニック

もう一つ風味の改善方法に下記の方法がありました。(栗子Xの場合だと酸味が感じられやすくなる印象です)

これもTikTokのTIMEMOREのアカウントで紹介されていた手法の一つです。

 

 

このような攪拌方法 (ステア) は知識としては知っていたのですが、よくよく見てみると思ったよりもガッツリと攪拌していてかなりインパクトがありました。

実践してみたのが下記の動画です。

 

撹拌 (ステア) を使った淹れ方 - YouTube

 

上の攪拌の方法も風味の改善にはかなり有効に感じていて、いつもやる訳ではありませんが、必要に応じて試しています。(最近は粉の見た目も奇麗なのでスピンの練習もしています)

実際に試して見ると棒の先にザクザク感を感じる場合が多く(お湯が浸透していない)、ちゃんと蒸らされていないことが実感できると思います。(特に浅煎り)

 

 

その他 (フィルターと水)

特にTIMEMOREとは関係ないですが、ペーパーフィルターは三洋産業のAbacaを以前はよく使用していました。ただ、栗子Xを使いだしてからは普通のペーパーフィルターに戻しています。

どうもAbacaを使うと水っぽくなるような印象で、栗子Xで挽いた粉と併用するとさらに強調されるように感じます。(好みの問題ですが...)

それほど多くの種類を試していませんが、ペーパーフィルターでも風味は変わると思うので、試したことが無い場合は試す価値はありです。

また、水に関してもいくつか試して見ましたが、試した中では大きくは違いが感じられなかったので、入手性のよいものを使用しています。(中国は飲料水は買うのが普通です)

 

以上、ハンドドリップの方法について述べましたが、疑問を感じた場合はまずはメーカー提案の方法に従ってみるのも良い方法だと再認識しました。

基本的にはコーヒーミルはツールであり使い方次第の面が大きく、コーヒー豆自体が悪くない限りは美味しく淹れる方法があるはずと考えています。

それを踏まえて他の動画等も参考にして自分なりのアレンジも試しています。

 

<参考にしている動画の例>

【ハンドドリップ】チャンピオンの基本のレシピを解説します!フラワードリッパー編 / Hatakeyama Daiki - YouTube

The Ultimate V60 Technique / James Hoffmann - YouTube

 

 その他、気になった点

音鳴り

下記の動画の10:50~くらいでも述べられています。(中国語ですが...)

『開箱』TimeMore 泰摩栗子 X - YouTube

 

私の栗子Xは初期ロットなので現行と同じかどうか不明ですが、上の台湾のYouTuberが指摘しているような挽いている際の粉受け起因の音鳴りがありました。(ただ、レビューやTwitter等で他に指摘している人が見当たらないので個体差なのかもしれないです...)

対策としては下記のようにテフロンシールを薄く巻いて、ねじ込み部分の隙間を減らしました。(粉受け単独だと見てくれが悪いですが...音鳴りの方が気になるので...)

 

 

表面の滑り

表面の滑りは多くの人から指摘されているので、オプションのレザーカバーを付けるなり、ラバーグリップを装着するなりして対策した方がよいと思います。

 

挽いた最後に一粒 (一欠片) 残りやすい

挽き終わったと思っても内部によく欠片が残っているので、挽くたびに注意して確認しています。(ちなみにこの現象はX liteやC3ではほぼ無いです)

 

 他のミルと比較してどう思うか?

他のミルとの比較、これは気になる人も多いのではないでしょうか?
結論から言えば、上の方でも述べたように豆が良ければどのミルを使ってもたいていは美味しく飲む淹れ方は見つかると思います。
 
コーヒーの風味に関しては各自で淹れ方も含めて好みで調整するものですし、各自とミルの相性によって調整し易さには違いがでるかもしれません...
また、ミルが異なれば調整しても風味は他のミルとは完全に同じものにはならない場合もあります。
豆と淹れ方を揃えてミルだけを変えてそのミルの風味がどうこうというよりは、それを踏まえて風味が気に入らない場合にどのように調整するかのノウハウの方がより大事になってくると思います。(見た目の粒度を揃えるのもあまり意味はないと思います)
 
調整しやすいという意味では、栗子Xは粒度目盛りが有りその調整間隔も狭く、挽いた粉のお湯抜けも良好であり、さらに浅煎りのような硬い豆を細く挽くのにも引っかかりも少なく楽に挽けるので、淹れ方を調整するのにもかなり便利だと思います。(その代わり挽ける時間は速くはないですが...)
※お湯抜けに関してはX liteはさらに良いように感じますが、硬い豆を挽くのはXの方が楽です。(刃の特性+ハンドルの形状の違い)
 
そのようなわけで、ハンドドリップ用のミルに関しては各自の主観で選んでもあまり間違いはないのではないかと思います。(評判やデザインなど...できれば金属刃のミルをお勧めします)
私の場合は他にもいくつもミルを持っていますが、栗子Xにすっかり慣れてしまったので基本的にはまだ調整の練習も兼ねて栗子Xをベースに使い続けようかと...
 
(コマンダンテC40もどんなものかと気になっていたので購入してしまいました!コマンダンテを知りたいという欲求に対しては、他のどんなミルも代替にならないので
 
参考までに主観ですがそれぞれのミル風味の印象
  • 栗子X     :苦味、暗い (重い)、甘い
  • 栗子X lite    :酸味、明るい (軽い)、甘い
  • コマンダンテ:酸味、素
  • 栗子C3     :苦味、素
上で酸味というのは酸味を感じ易く、苦味というのは苦味を感じやすいという意味です。
‟素”というのは際立っている、時にはとげとげしく感じるような感覚のことで、逆に"甘い"というのは、この辺が甘味でやや丸まっているような印象を指しています。
 
なので、コマンダンテやC3の場合はコーヒーの種類によっては相性があり、Xシリーズよりも調整がやや難しいかなという印象を持っています。(これはもちろん求める風味によるので、各自で異なってくる可能性は大ですね...)
 

 TIMEMOREの収集した栗子Xに対する市場の声と対応|栗子X lite

左奥:栗子Xの刃 (S2C 860)      右手前:栗子X liteの刃 (S2C 880)
 
TIMEMOREの微信公式アカウントの記事 (诞生记) によると、栗子Xの市場からのフィードバックは下記のようです。(特にコーヒーの風味に関してのフィードバックを抜粋)
 
关于X磨芯的风味特点,我们也收集了更多的反馈:
X磨冲出来的咖啡,第一口往往不是最惊艳的,在高温段的时候,它甚至会有点平淡。而在温度下降到68度以下,咖啡甜度和风味清晰度明显上升,尤其是瑰夏这样的豆子。在与某进口高端品牌盲测对比的时候,高温段X略逊一筹,中低温X则胜一筹,这是它独特的属性。
 
上記を訳すと下記のようになります。

Xのコニカル刃についてもより多くのフィードバックを集めました。

栗子Xで挽いた粉で抽出されたコーヒーは、最初の一口が驚くべきものではなく、高温のときは少し平坦になることもあります。温度が68度以下に下がってくると、コーヒーの甘さと風味の鮮明さが明らかに向上し、特にゲイシャのような豆が例として挙げられます。ある海外のハイエンドミルとブラインドテストで比較すると、高温域で栗子Xはやや劣り、中低温域では栗子Xが勝っている。これが栗子Xの個性です。

 
こうやってみると、自分が感じた最初に違和感も高温時の平坦という風に解釈できるのかもしれません。
このような収集した市場に声に対する返答として開発されたのが栗子X liteになります。
 
簡単に言うと、栗子X liteで淹れたコーヒーの印象は明るく透明感があり酸味が感じられやすいです。
一方、比較的に栗子Xではどっしり、かつ甘味を感じるような仕上がりに感じられます。
全般的には栗子X Liteの方がバランスよく仕上がる印象ですが、どちらかと言えば浅煎りは栗子Xの方が好みです。(風味に慣れたというのもあると思いますが...)
また、浅煎りのような硬い豆は栗子Xの方が挽き易くも感じます。(ハンドルの形状や刃の特性の影響)
 
C3などに使われている一回り小さいS2Cの刃は印象が全然異なり、豆の特徴がくっきりと出やすく感じます。(特に苦味)
栗子Xシリーズはどちらも甘味でマイルドに感じられる傾向があります。

手っ取り早く美味しく淹れるのであればX liteが一番適しているような気がします。(どんな豆にもそれなりに対応できそう)
予算的にOKであれば、最初からX liteというのもいいかもしれないですね。(ハンドドリップに使用する前提で。エスプレッソは期待しない方がいいです)
まあ、TIMEMOREの今の製品ラインナップを見ると、デザイン的な拘りがなければX liteかC3かの2択になるんだろうなあと思っていますが...
 

逆にC3でも使いこなせればハイエンドミルはあまり必要ないような気もします。

個人的にはハンドドリップの練習も兼ねて、C3はこれからちょくちょく使ってみたいです。(C3は構造的にC2よりも確実にアップグレードされています (特に以前のモデルを知っていると、強度面の安心感アップは大きいです))

 

 まとめ|今後も栗子Xをつかうのか?

上の器具はTIMEMOREのコーヒー濃度計です。(今のところ日本では販売予定が販売予定がないそうですが、簡易的なツールとしてコスパはいいと思います)
 
栗子Xを1年半使いながらハンドドリップの勉強もかなり捗ったような気がします。
以前はハンドドリップ時に土手を気にしたり、挽き目は中粗挽きということにあまり疑問を持っていませんでしたが、最近は取り合えずは色々と試してみて違いを自分で確認してみようという姿勢です。
 
また、メーカーの設計思想を理解しながら製品を触るのも楽しく、ついついミルが増えてしまいました...
TIMEMORE製品のみならず、コマンダンテ、鬼刃の手挽きミルも追加されました (笑)
そうは言っても、今後はさらに新しいミルに手を出すというよりはこの栗子Xをより上手く使っていきたいですね。(C3も使いこなしたいという気持ちもありますが...)
※ただし、ガジェットとしての手挽きミルの収集はありえます!
 
栗子Xを使用して1年半、個人的には十分に元は取れたかなと思っています。今後は活躍していないミルの使い道も考えていきます(笑)
※コマンダンテは収集目的なので、試したいときに試せるだけで満足です...
 
以上、最後までご覧いただきありがとうございました!