エンジニアの中国ブログ

中国の広東省在住、現地企業勤務のエンジニアです。中国生活で体験したことや趣味の話を中心に発信していきます!

【TIMEMORE】手挽きコーヒーミルPlusシリーズの性能の違いと注意事項【SLIM&G1】

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今回のトピックは以前にも紹介しましたTIMEMOREの手挽きコーヒーミル、SLIM plusとG1 plusの性能の違いと注意事項についてです。

 

▼参考:本ブログのplusシリーズの紹介記事

【TIMEMORE】 栗子 "G1 plus" & "SLIM plus"| 新コンセプト "Spike to Cut" で臼刃をアップグレード! - エンジニアの中国ブログ

 

実際に両方を使用してみて、単純にハンドルの長さやノブの握り易さ等では説明できない性能の違いを感じたので、条件を揃えて比較検証してみました。

また、数か月使用の間に不具合が起きたこともあったので、注意事項としてこちらも共有しておきたいと思います。

 

SLIM plusとG1 plusの間に性能の違いはあるのか?

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上の図はTIMEMOREのタオバオ旗艦店の製品説明から引用しました。(オレンジ色の枠は私が追加)

「单品研磨」がハンドドリップ向けの粒度品質、「意式效率」がエスプレッソ向けの極細挽きの挽ける速さについての項目ですが、SLIM plusもG1 plusも☆の数が同一になっています。

つまりこれらの性能が同一ということです。

 

私はSLIM plusもG1 plusも両方とも使用していますが、この点は少し疑問でした... (G1の方はplusの刃だけ購入して換装しました)

実際には挽き目を変えて別用途で使っていたので直接は比較していませんでしたが、それでもちょっと違うんじゃないだろうかという感触をもっていました...

特に挽ける速さに関してです。

 

挽き終わるのに必要な回転数で両者を比較

そのため、今回、条件を揃えて確認してみました。(挽き終わるのに必要なハンドルの回転数で比較しました)

中挽き (挽き目:18クリック、中煎りの豆8g)
  • SLIM plus :16回転
  • G1 plus  :23回転

 

極細挽き (挽き目:11クリック、中深煎りの豆7g)
  • SLIM plus :26回転
  • G1 plus  :40回転

 

以上を見て分かるように、中挽きでも極細挽きでもSLIM Plusの方が回転数が30%ほど少なくて済みます。

これは実際に使ってみた感じと感触と一致していて、SLIM plusの方がどんどん豆を噛み込んでいく印象です。(ドリルのようにグイグイいく感じです...)

なぜでしょうか?

 

下の写真を見てもらうとわかるように、左側のSLIM plusは本体と刃の直径がほとんど同じです。

一方、右側のG1 plusは刃の直径よりも本体の直径の方が明らかに大きいです。

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このような構造の違いから、SLIM plusの方は充填された豆がストレートに臼刃に噛みこまれていくのに対し、G1 plusの方は豆が刃の周辺にも広がって充填されるため、臼刃の中にストレートに落ちていかないのでしょう。


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この豆の噛みこまれ方の違いに起因して、挽き終わるのに必要な回転数に違いがでているのだと推定しています。

 

一方、浅煎りのような硬い豆の場合、SLIM plusの方がおそらく豆の噛み込み量が多いことに起因して、ハンドルが重くなりやすいです。(ハンドルが重い場合は、本体を傾けて豆の噛み込む量を減らしています)

つまり、硬い豆の場合は、G1 plusの方が挽けるのが遅い代わりにハンドルが比較的軽く、挽き易く感じます。

 

そのため、二つの性能の違いをまとめると下記のようになります。

  • SLIM plus:G1 plusよりもハンドルの回転数が30%ほど少なく挽き終わるが、硬い豆はG1 plusよりもハンドルが重くなる。
  • G1 plus   :SLIM plusよりも挽ける速さは遅いが、硬い豆はSLIM plusよりも挽き易い。

 

その他、形状やハンドル長の違いなどからも、挽き易さに関しては多少影響を受けると思います。

持ち易さに関しては、手があまり大きくない方であればSLIM plusの方が良好に思います。(細身で握り易く、表面も凹凸パターンで滑り難く、重量も軽いです)

 

手がある程度大きい人であれば、上記の挽ける速さの違いも考慮して好みの方を選べばいいと思いますが、手が小さい人であればSLIM plusの方が無難でしょう。

SLIM plusで硬い豆を挽く場合は本体を傾けて使用し、豆の噛み込み量を適時調節しながら挽くとよいと思います。

 

極細挽き時に注意が必要|使用時の注意事項

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上記はPlusシリーズの挽き目の推奨クリック値です。(2021年4月現在、タオバオのTIMEMOREの旗艦店の説明から引用)


極細挽きのエスプレッソ (意式) のところが8~11クリックになっています。

写真はマキネッタですが、マキネッタにしては細かい挽き目であり、バスケット径が小さめのエスプレッソメーカーなども想定対象に含まれると思います。

ちなみに、直火式エスプレッソメーカーのKamiraでは12クリック前後を使用しています。(抽出圧はMaxで4bar程度)

 

ここで、下記のように極細挽きの粒度の使用する下限は7クリック目となっています。(7クリックまでは外刃と干渉しないと記載があります。(栗子Xは5クリックまで))

※ショップに確認したところ、粒度調整ダイヤルを一番きつく締めて最初にハマるところが "0" だそうです。

7クリック以上で干渉している場合は、何らかの異常が発生しているかもしれません...

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タオバオのTimemore旗艦店の商品説明から引用

 

ちなみに自分の持っている製品 (SLIMとG1共に) は、購入当初、5クリック以下で外刃と内刃が干渉する音が聞こえました。

従来の旧製品のときから、6クリック以下は使用しないようにと説明書には注意書きがあったので、その点は変更がありません。

現在、なぜこの注意書きが販売サイトで目立つように記載されているのか?(従来品のときは無かったはず…)

 

この点については思い当たる節があります。

Plusシリーズになって極細挽きの実用性があがり、この領域で使用するユーザーが増加したのではないでしょうか?(実際に私がそうですが...)

 

ある時、私自身がかなり硬めの浅煎りを8クリック程度でテスト的に極細挽きにしてみたのですが、この際、ハンドルがかなり重かったです。(1ハゼのピークぐらいで煎り止めの浅煎り)

これを力任せに挽き続け(約18g)、最後まで引き終わりました。

 

けっこう力を掛けてしまったので、軸がブレていないか心配になり、ミルの粒度を6クリックまで下げて刃を回して確認したところ、案の定、擦れるような音が発生していました。(以前は6クリックで干渉音は発生していない)

実使用上は6クリックは使用していなかったのですが、8クリック程度でマニュアル式のエスプレッソに使用しても以前よりもチャネリング (漏れ) が発生し易くなったような印象でした。

 

心当たりもあったのでカスタマーサポートに連絡しようかなと思いましたが、軸自体は問題無いようだったので、外刃を確認してみることにしました。(外刃の固定位置のズレを疑いました…)


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カニ目レンチを使用して内部のリング状の蓋を回し、SLIM plusの外刃を外してみました。

ここで、ネジを回す方向には注意が必要です。

図に記しましたように、時計回りが外刃のリング状の蓋を外す方向なので、反対側に回さないようにしてください。

 

予想した通り、外刃が正常位置から微妙にズレた状態でハマっていました。(普通はスルッと抜けるのですが、引っかかっていてなかなか抜けない状態...)

この外刃をなんとか抜き取りもう一度セットし直したところ、6クリック目の擦れ音は無くなり、エスプレッソ使用時のチャネリングも減りました。(4、5クリック目辺りでも刃の干渉音はほとんど聞こえなくなりました...)

 

外刃をセットする際はリング状の蓋を閉め付ける前に内刃を取り付け、先に0クリックまで粒度調節ダイヤルを締めます。(これは外刃の位置を決めるため)

それから、外刃のリング状の蓋を閉め込んでいきます。

※刃を交換するときも同様にしています。

 

下記の動画は一度刃を外して調整後の様子です。(音量にご注意下さい)

SLIM plusの刃が干渉している様子

 

ちなみにマニュアルを見ると外刃の取り外しは推奨ではないようなので、取り外す場合は購入先にご相談ください。(もしくは自己責任で取り外し&調整)

中国では上記のような問題が発生した場合、①メーカーに送付してチューニングしてもらうか、②メーカー指導に基づいて自分で分解するかの二択のようです。(メーカー指導の場合は、マニュアルや動画が送付されてくるのだと思います)

 

予防策として、硬めの豆の極細挽きは刃に掛かる負荷が大きいので力任せに挽かず、本体を傾けて豆の噛み込み量をコントロールしながら、焦らずに挽いた方がいいと思います。

元々噛み込み量の少ないG1 plusだったら、それほど気を使わなくてもいいかもしれませんが...

 

SLIM plusとG1 plusの性能の違いのまとめ

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奥左:ノーマル、奥真ん中:ノーマル (チタンコーティング)、奥右:Sタイプ (チタンコーティング)、手前左:E&B、手前右:E&B (チタンコーティング)

▼参考:PlusのE&Bの刃に関しては、こちらもご参考下さい。

【TIMEMORE】E&B 臼刃が秀逸!|臼刃の特徴を種類別に紹介 - エンジニアの中国ブログ

 

SLIM plusとG1 plus、今回確認した両方の挽く性能の違いをまとめると下記のようになります。

  • SLIM plus:G1 plusよりもハンドルの回転数が30%ほど少なく挽き終わるが、硬い豆はG1 plusよりもハンドルが重くなる。
  • G1 plus   :SLIM plusよりも挽けるのが遅いが、SLIM plusよりも硬い豆は挽きやすい

 

メーカーの製品説明に性能同一と表記されていても、両者を実際に使うと明らかな違いを感じたので、上記の点は注意された方がいいと思います。

また、NANO plusに関してはSLIM plusと同等の挽く性能になります。(知人からNANO plusを拝借して確認済み)

 

plusシリーズの選択の際にはデザインやサイズなど他の要素もあると思いますが、上記のような挽く性能の違いも参考にして下さい!

個人的には、より快速に挽けるSLIM plusの方がE&Bの刃の特徴を実感しやすいかと思います。(浅煎りのような硬い豆を軽快に挽くという点では栗子Xの存在もあるので…)

 

補足)SLIMはNANO風にアレンジ可能

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SLIM plusについて少し補足です。

実はSLIMとNANOは本体の直径が同一で、ハンドルや粉受けに互換性があります。

木製のノブは一回り大きいG1のものも使用可能です。(2021年3月現在)

 

上の写真のSLIM plusはハンドルはNANO、木製のノブはG1のものに変えています。

個人的に折れ畳みハンドルは必要性を感じていなかったのですが、実際に見てみるとギミックとして飾っておきたくなりますね。

 

TIMEMORE製品の部品購入に興味がある方は、下記のTIMEMORE JPのサイトをご参照下さい。(もしくはAmazonのTIMEMOREストア)

リストに無い部品は問い合わせて下さいとの記載もあります。(中国の場合もリストにはありませんが、チャットで問い合わせると対応してくれます)

 

▼参考:TIMEMOREコーヒーミルの部品が購入できるサイト

 

▼参考:本ブログのplusシリーズの紹介記事

【TIMEMORE】 栗子 "G1 plus" & "SLIM plus"| 新コンセプト "Spike to Cut" で臼刃をアップグレード! - エンジニアの中国ブログ

 

 

以上、ご覧いただき、ありがとうございました!

 

 

 

下記は本ブログのTIMEMORE関連の人気記事です。よろしければどうぞ!

 

下記の記事はTIMEMOREのミルのハイエンド栗子Xについて紹介しています。TIMEMOREのミルはそれぞれ補完性があり、ハイエンドが全ての面で上位互換になっている訳ではありません。購入を検討する際は、それぞれの特徴の違いを把握された方が好ましいと思います。

 

下記はお気に入りのコーヒーミル、Timemore (タイムモア) のG1についての紹介記事です。既にノーマル刃のG1に関しては中国では販売が終了していますので、デザイン的な特徴を把握するのに参考にして下さい。挽き性能自体はPlusシリーズについての記事を参考にして下さい。(自分は刃を plusの "E&B" に換装しました)

 

下記の記事ではTIMEMOREのplusシリーズに関して紹介しています。栗子Xと補完的な性能を持っています。コンパクトでありながら挽ける速度はトップレベルで、コストパフォーマンスもとても高いと思います。(38mm径でありながら、1Zpressoの47mm径よりも速い)

 下記の記事はタイムモアのミルのエントリーモデル、タイムモアCについての記事です。実はこの一年で最も使用したミルで、費用対効果が素晴らしく高いです!(現在、栗子Xの導入により取り合えず休眠していますが...)

 

この記事はタイムモアのSLIMというミルに関しての記事です。SLIMはデザインに関しては今も変更がないですが、そのデザインにまつわるトピックです。このコンパクトでシンプルなデザインと、他社の大型モデルを上回るplusの極細挽き性能の組み合わせは非常に気に入っています!