特徴もよく知らずに予約してしまったTIMEMOREのChestnut 栗子X…
予約してからかなり待たされましたが、ようやく入手することができました。
栗子X含め、TIMEMOREのその他のミル製品の特徴は下記の記事にまとめましたので、今回は実際に栗子Xを使ってみての感想を中心にレビューしたいと思います。(1ヵ月以上、使い込みました...)
▼参考:栗子Xの導入背景や設計思想について
▼参考:臼刃の種類と特徴について
▼参考:TIMEMOREのミル製品の種類 (ラインナップ) について
- 栗子Xの外装デザイン|G1ベースの本体に折り畳みハンドルが特徴
- 栗子Xの内部の特徴 (臼刃を除く)
- 栗子Xの分解|メンテナンス性は?
- 栗子Xで挽いた豆の外観と微粉の割合
- 挽いた後の微粉の付着
- 栗子Xを使ってみての全体的な感想・まとめ
栗子Xの外装デザイン|G1ベースの本体に折り畳みハンドルが特徴
全体的な外観としては上記のようにシンプルな一体感のあるデザインで、アウトラインはG1に似ています。(サイズはG1よりやや大きめです)
ちなみに下記の意匠特許では、タイトルにG2をいう表記を使用していますね。
【外观设计专利】CN305883699S "咖啡研磨器(栗子G2)"
内部含めてフルメタルのデザインで質感・高級感はバッチリです。(重量は要注意ですが...)
購入前に個人的に懸念していた塗装はかなり丈夫で傷付き難いです。(不本意ながら、数度ぶつけてしまっての感想です)
ただし、表面がやや滑りやすいのでオプションのレザーカバーを購入予定です...
栗子Xの外装デザインに関する特徴
- 構造的特徴1 :ハンドルはNANOに類似の折り畳み構造
- 構造的特徴2 :粉受けの装着方法がカチッとハマるねじ込み式
- ミルの豆の容量 :X (≦35g) / G1 (≦25g) / NANO (≦15g) / SLIM (≦20g)
- 重量 :X (760g) / G1 (560g) / NANO (360g) / SLIM (440g)
折り畳みハンドル
上記のデザインに関する特徴について補足しますと、まず折り畳みハンドルについては、下記のように中国では既に特許が成立しています。
CN207341660U - A kind of foldable structure of manual bean milling machine - Google Patents
この折り畳みハンドルはNANOで好評だったようですが、このハンドルのために重量も増加しており、G1のハンドルが100gなのに対し、Xの折り畳みハンドルは208gと100g以上重くなっています。
さらに、全体の重量については、Xは760gとなりG1よりも200gも重いので、慣れるまで扱いには注意が必要です... (ちなみに所有している1ZpressoのJE-plusは860gとさらに重いので、驚きはしませんでしたが...)
個人的には折り畳みハンドルのギミックに興味があったのものの、折り畳み機能は全く活用していません...
一種のギミックのようなデザイン上のアクセントだと思っています...
通常、保管するときはハンドルを外して、使い捨てのポリのコップを埃が入らないように被せています。(この方が次に使うときに楽なので…)
また、折り畳みハンドルは伸ばすと直線型で、どちらかと言えば人間工学的に力が入りづらい構造です。
ただし、ハンドルを回すのにこの形状が使いづらいわけではなく、栗子Xはそもそもハンドルを回すのがかなり軽い設計なので、このようなハンドル形状でも挽く際には問題はありません。(挽くのに要する力が小さく、浅煎り豆でもけっこう軽く挽けます)
栗子Xはかなり軽く挽ける反面、挽ける速度はやや遅いです。
「軽く挽ける」が意味することが、臼刃の中への豆の噛み込みが少ないことも関係しているからです。
どのミルにおいても原理的にこの点がカウンターバランスになりやすく、さくさく挽けると説明があったら挽けるのは速くない可能性が高いです。
そして、挽ける速さと引き換えに、揃った粒度や軽いハンドリングといったメリットを得ていると推測します。(揃った粒度 → 臼刃中にある程度の時間は滞留していないと、豆が綺麗に粉砕できないのだと思います)
例外は一般的な38mm径の刃よりも大型化した刃を採用しているモデルです。(その場合はサイズや重量が犠牲になりますが...)
栗子Xの場合は臼刃を42mm径に大型化した上でそれほど速くないので、軽い挽き心地、かつ粒度を整えた挽き豆を得ることをかなり重視していることがうかがえます。
そのため、TIMEMOREの他製品や47mm径の大型刃を採用している1ZpressoのJE-plusと比較しても、粗挽きから極細挽きのどの粒度域でもハンドリングは軽いです。
なお、栗子Xは速くないと述べましたが、極細挽きや細挽きではTIMEMOREのノーマル刃の製品よりも速いです。(18gを極細で挽くのに2〜3分は要しますが...)
さらにハンドドリップ向けの中挽き (16クリック)では、15gで50秒弱といったところです。(浅煎り~深煎りでそれほど違いはなく、ほぼ同じように楽に挽けます)
個人的にはこれくらいの時間であれば許容範囲で、もっと大量に速く挽きたい場合は、plusシリーズが好ましいです。(plusは栗子Xに対し挽く時間は半減です。大型刃を使用した1Zpressoを軽く凌ぐ速さで、さらに微粉もノーマル刃よりも減っています)
また、蓋部分に若干の隙間ができますが、下記のようにG1のハンドルも使おうと思えば使えます...(使っていませんが...)
比較するとわかるのですが、Xのハンドルの方が若干長く、意図的にトルクを掛けやすくしているのかもしれません... (Xは急ぐというよりは、ゆとりを持って挽くのが向いているミルです...)
粉受けの脱着方法 (スチャッとハマるねじ込み式)
粉受けの脱着方法ですが、口で伝えるのも難しいので、まずは下記の1分程の短い動画を見てみて下さい。
【手挽きコーヒーミル】粉受けの脱着方式の比較|TIMEMORE 栗子X、その他
上の動画を見てもらえばわかるように、栗子Xの ‟スチャッ” という粉受けのハマり方が新鮮でした。(加えてあまりねじ込まなくても固定でき、脱着し易い)
何というか非常に心地よく、高級感も感じられます。
1Zpressoのマグネットを使用した粉受けも脱着性自体はとてもよいのですが、サイズや重量が増してしまうため大型モデルでの採用に限られてしまうようです...
以上のように、今回の栗子Xではデザインと機能の両立 (+高級感) に工夫を凝らしたのが伺えます。
なお、栗子XやSLIM plusでは、粉受けの脱着時にときどき高温の金切り音が混ざることがあります。
カスタマーサポートによると、この金切り音の対策には食品グレードのシリコーングリースを塗ってくれとのことでした...
試しに少し塗ってみましたので、下記の動画で違いを確認してみて下さい!
外装オプション
下記は今後販売予定の栗子X専用のレザーカバーとなりますが、栗子Xが持ちづらい人やデザイン的に少し変えたい人にとってはこのようなオプションもあります。
私は筒の部分がやや滑り易く感じるので購入予定です。
Instagram: A post shared by TIMEMORE Coffee (@timemorecoffee)
栗子Xの内部の特徴 (臼刃を除く)
ミルの内側は上記のようになっています。
本体上部 (コーヒー豆の投入口)
豆の投入口がG1よりもやや広く、シャフトの支柱もかなり奥まっているので、豆の投入はタイムモア製品の中で最も良好です。
また、粉受けの中までも外装と同じように塗装されていますが、この塗装はかなり傷付きに強そうです。(既に2、3度ぶつけていますが、ミルは無傷です...)
さらに、この塗装は挽いた粉も付着しづらく、付属のエアーブラシで簡単に清掃が可能です。
挽き豆の粒度設定のダイヤル
挽き目の設定はオーソドックスに刃の裏側のダイヤルで設定します。
粒度の設定ダイヤルは目盛り付きなので使い易く、飲む度に調整することも苦ではありません。
粒度の設定は2段階になっていて、外側の目盛り (0~23) に対して内側のより細かい目盛り (0.2刻み(外周1クリックの5分の1の調整間隔)) で補正するように設定します。
また、外側の目盛りは1周以上回すことも可能で、より粗挽きな実質28 (23+5)でも問題無く使用可能でした。
ハンドドリップでは内側の細かく調整できるダイヤルを使う機会はあまりないですが、エスプレッソ挽きの領域ではかなり使い易いです。(調整ピッチは0.015mmとかなり狭く、他のタイムア製品の約5分の1の細かい間隔で調整可能です)
さらに特筆すべきは従来よりも粒度設定の自由度が大幅に増加したにも関わらず、シンプルな機構でメンテナンス性が従来品と同等なことです。(例えば1Zpressoでも細かく刻んで粒度設定が可能なモデルもありますが、部品点数が多く、分解・組み立ては煩雑です)
しかも、面倒な0点調整も必要ありません。(2分の1の確率で合わせられます。外れたら内刃ごと180°回してセットし直せばOKです)
この粒度設定の機構は、plusシリーズにもぜひ展開して欲しいところです。
栗子Xの分解|メンテナンス性は?
上の写真は栗子Xの分解した様子です。
本体の反対側が写っていませんが、ベアリングは外していません。(他の製品と同じくダブルベアリングの仕様です)
他のTIMEMORE製品と同様に部品点数も少なく、シンプルでメンテナンスは容易です。
注意点はバネとワッシャーの向きぐらいでしょう。
ワッシャの内側の凸部は片側にしかなく、凸側がベアリング側になり、平坦な側がバネ側です。
バネの向きは、ワッシャーに対して上の写真のように太い側がくるようにセットします。
また、上の方でも述べましたが、栗子Xの塗装部分は粉が付着しにくく、分解・組み立てもし易いので、メンテナンス性に関してはかなり良好です。
この点は非常にうまく設計されていると思います。
栗子Xで挽いた豆の外観と微粉の割合
まず、栗子Xの新しい刃 "S2C" について簡単に説明します。
上が栗子Xの核心部分となる臼刃 (写真は内刃) "S2C" の写真です。(素材はステンレス420)
特に上段部の水平に入った溝がポイントで、この部分で先に豆を砕き、さらに臼の中で粉砕する2段階粉砕がコンセプトの臼刃です。
実際に挽いてみると挽き心地は非常に軽く、浅煎りでも苦労はしません。(非常に引っかかりも少ない)
内刃の水平部分の溝で豆を砕くと共に、臼刃の中に入る豆の量もコントロールしているようです。(例えば同社のSタイプの刃だと、豆を臼の中に噛み込み過ぎてハンドリングが重くなりがちです)
下記の動画の1:00~辺りにS2Cの詳しい説明があります。(豆が上段の溝で切られて跳ねている様子も伺えます)
CHESTNUT X is now available on Kickstarter.
次に挽いた豆を見てみます。
下の写真がTIMEMOREの栗子Xと栗子Cで挽いたコーヒー豆です。(#30は粒度調整の目盛りダイヤルの30クリックを表しています。#23、#16もそれぞれ23クリック、16クリックを表しています)
外観だけを見ると、栗子Cの方がいいんじゃないの?と思うかもしれません...
スマホのカメラなので上手くとれていないこともありますが、実物の外観は大差なく、栗子Xではチャフがあまり切れていないためにややムラになって見えています。(チャフは一般的には風味に影響は無いと思いますが、TIMEMOREによると競技会に出場するようなレベルの人の中には気にする人もいるようで、その場合、チャフは切れていない方が取り除きやすいとのことです)
引用:タオバオのTIMEMORE旗艦店より
一方、通常、粉の外観から粒度分布や微粉量は推定できませんので、篩を使って微粉の量を確認してみました... (この評価は面倒なので、好きではありませんので最低限...)
それぞれのミルと粒度設定で挽いた豆を最初に微粉セパレーター(0.4mm径)で篩い、分離した微粉をさらに100目の篩で篩いました。(ハンドドリップに推奨の挽き目での比較です)
結果は下記の写真のとおりで、一番左が微粉セパレーターに残った粉で、真ん中が100目 (目開き0.154mm) の篩上に残った粉で、右端が100目の篩を通り抜けた粉です。
見てわかるように、栗子Xで挽いた粉は栗子Cのそれに比べて微粉が少ない結果となりました。
ここで、栗子Xは16クリック、栗子Cは23クリックと18クリックで挽いた粉を使用しました。(栗子Cの16クリックは栗子Xの16クリックよりも細かそうだったので、それより大きめの粒度設定で比較しました)
風味は当然異なりますが、私にはうまく表現できないです...すみません...
特に浅煎りや中煎りでハンドドリップで淹れると顕著に差を感じていて、すっきりしながらもコーヒー感 (苦味というかしっかりした感じ) や香りが強い印象です。
慣れていた風味と異なるので最初は違和感も感じたのですが、今ではすっかり気に入っています...
以前と淹れ方で変わったことは、松屋式や高木まろやか式といった加水方式を取らなくても雑味を感じにくくなったので、シンプルなハンドドリップになりました。
今の淹れ方では蒸らしは40~60秒(※)と長めですが、トータルの抽出時間は2分~2分半程度と基本的に短めです。(抽出時間を延ばすと、雑味というよりは苦味を強く感じるので (味が濃い)、このくらいの時間に落ち着いています)
また、抽出温度は以前に比べたら+3~5℃は高めになりました。(結果として抽出時間も短くなりましたが、風味は向上したように感じています)
※蒸らしは焙煎度によって変えていて、深煎りは短めで15秒くらいにしています。(YouTube等を参考にして、この辺は随時色々と試しています)
さらに同じ豆を使用して近い粒度でplusの挽き豆も比較に加えたのが下の写真です。
上記を見てもらえばわかるように、100目を通り抜ける微粉 (右端) も、0.4mm径の穴を通り抜ける微粉 (真ん中) も栗子Xが最も少なく、次いでplusの順となりました。
淹れ方が同じだったら風味はそれぞれのミルで挽いた粉で淹れたコーヒーに風味も変わりますので、この粒度の違いは風味に反映されていると思います。
強いて言えば、雑味を抑えつつ、自分の好みの味を作りたい人には栗子Xが最も向いていると思います。(松屋式みたいに粉をあまり動かさない淹れ方だと差は少ないかもしれません......Cでも十分に美味しく飲めていましたので...)
栗子Xの微粉率に関しては、評判の高いComandante C40やMahlkonig EK43をベンチマークし、それらとおおよそ同等レベルとの見解です。
ただし、粒子の形状が異なるため風味は異なり、彼らの評価の限りでは温度降下時に風味が際立つ傾向が認められるとのこと。(絶対的な意味ではありません)
挽いた後の微粉の付着
続いて、挽いた後の微粉の付着具合を見てみます。(自分の1Zpressoは多かったので気にしていました...)
使い始めはかなり付着しますが、数回使用すると落ち着いてきます。
とはいっても、落ち着いてきても従来のTIMEMORE製品と比べると、微粉の付着はやや多めです。
まず、中挽き (16クリック) で挽いた後の例が下記です。
次に極細挽き (5.8クリック) で挽いた後の例が下記です。
挽き方を変えても付着の仕方はそれほど変化はありませんでした。
付着は増えたのですが、付属のエアーブラシを使用すれば除去するのは大変ではありません。(吹けばすぐに微粉は取れます)
付着の程度としては1ZpressoのJE-plusよりも少なめです。(しかも、JE-plusのアルミボディの方が付着は取れ難い...)
ハイエンドミルにおいてこのような微粉の付着は珍しいことではなく、SNS等をチェックすればコマンダンテ (C40)、Kinu (classic)、Apolloといった実績のあるミルでも事例は簡単に見つかります。
複数ミルの微粉を比較した事例だと、下記の動画で取り上げられています。
3款超千元手搖磨豆機綜合對比測評!德國司令官 C40 vs 泰摩 栗子X vs Kinu M47 | 牛小咖MumaMoo
下記は上の動画から引用した微粉の比較場面です。
上の動画では微粉の付着は、少ない方から栗子X、コマンダンテ (C40)、Kinu (Classic)の順と述べられています。(豆の種類や使用環境により多少変わることはあると思いますが...)
【補足】上記の動画内での比較要旨
- 粒度分布:カッピング試験も実施されていますが優劣は付けれらていません。(どれも優れている)
- 挽ける速度:(速) Kinu >‥‥> C40 ≧ 栗子X (遅)‥‥Kinuはエスプレッソ向けの刃なので、当然こうなりますね。
- 挽き易さ:(易) 栗子X ≧ C40>‥‥>Kinu (難) ‥‥浅煎りのような硬い豆を挽いたときの引っかかりが栗子Xが一番少なく、Kinuは多めとのことです。
- 微粉の付着:(少) 栗子X > C40 >Kinu (多)
- 重量:Kinu (約1150g) > 栗子X (約760g) > C40 (約630g) ‥‥ Kinuや栗子Xはフルメタルのデザインですが、C40は樹脂やガラス (粉受け) を使用している部分もあるため、その差が出ていると思います。
- 握り易さ:(易) Kinu >栗子X >C40 (難) ‥‥ 持つ部分の直径はKinuが直径約50mm、C40が約61mmです。栗子Xは緩やかに角ばった形状で52~56mmといったところです。栗子Xはやはり表面の滑り易さが指摘されています。
栗子Xを使ってみての全体的な感想・まとめ
左から1Zpresso JE-plus:マニュアル式エスプレッソ向け (サブ)、栗子X:ハンドドリップ向け、G1 plus (刃を換装):細挽き、直火式エスプレッソ向け、栗子C:休眠中、SLIM plus:マニュアル式エスプレッソ向け (メイン)‥‥こんな感じで使用中です。
栗子Xはどのようなユーザー向けなのか?
最初に上で引用させてもらった動画内にKinu、コマンダンテC40、栗子40の向いているユーザーに関して下記のような記載がありました。
- Kinu :熱狂的なマニア、競技会出場者 (専門家) 向け
- C40 :競技会出場者 (専門家) ~ 一般大衆向け
- 栗子X :一般大衆向け
個人的にもそれぞれのブランドのユーザーは、おおよそこのようになっているのではないかと思います。(TIMEMOREは他の二つよりもカジュアルな印象です)
そんな中で今回新しくリリースされた栗子Xもやはり一般大衆向けでしょう。
気軽に使える高性能ミルとして高いレベルでバランス
普通のユーザー (マニアや専門的でない) に高性能なミルをどのように提供するかということが、TIMEMOREの念頭にあったことが節々に感じられます。
例えば下記の点です。
- 折り畳みハンドル:他のハイエンドミルにはない収納性
- 粉受けの脱着機構:デザインを犠牲にしない易脱着機構+高級感
- 粒度設定機構 :高いメンテナンス性と使い易さ+高レベルの調整間隔
これらは高級感のある統一されたデザインを前提に、使い易さと機能を高いレベルでバランスさせようとしているように感じ取れます。
さらに、メンテナンス性も従来製品同等に良好です。(元々、シンプルなTIMEMOREのミルのメンテナンス性は、他のミルと比べても良い方)
そして、最大の目玉であった新しい臼刃の "S2C" ですが、ここも大衆向けを考慮して挽き易さ (軽いハンドリング) をかなり重視したのかなと思います。(多少挽ける速度を犠牲にしても...)
なぜかというと、plusシリーズに導入した臼刃 "E&B" が超速く挽ける刃なので、速さを求めて大量に挽いたり極細で挽いたりする場合はplusシリーズというオプションが既に用意されているからです。
栗子Xは挽き豆の量が30g程度以下のハンドドリップ向け (中~粗挽き) に特にフォーカスし、その用途での高性能 (揃った粒度) と使い易さに重点を置いているように見えます。
もちろん全体的な高級感やカッコよさは十分に高いレベルだと思います。
風味についてはカッピング試験ができなく、表現力も乏しいので残念ながらうまくお伝えすることはできませんが、少なくとも高温で抽出しても以前よりも嫌な味を感じ難くなりました。
その結果、抽出方法の幅も広がり、ハンドドリップが一層美味しく飲めるようになりました。
基本的に風味に関しても満足しています。
良い点/悪い点
個人的に感じている良い点/悪い点をまとめると下記のようになります。
【良い点】
- デザイン/高級感
- 挽き易さ
- メンテナンス性の良さ
- 挽いた豆で淹れたコーヒーの風味
【悪い点】
- 挽ける速度がやや遅い → 量が多いときや細かい粒度はplusを使用
- 本体表面が滑りやすい → オプションのレザーカバーを購入しました。
ここまで、長々と述べてしまいましたが、一言でいうと「栗子X」気に入りました。
その他の注意点
極細挽きや大量に豆を挽きたいといった点に重きを置く人の場合、栗子Xには不満が高まるかもしれません...
このような方の場合、別の挽けるのが速いミルを選定することをおススメします。(風味については抽出方法で工夫の余地があると思いますが、挽ける速度に関してはそのまま受け入れるしかないと思いますので...)
TIMEMORE Chestnut X 手挽きコーヒーミル (TIMEMORE JAPAN公式サイトへ)
私の知る限り、挽けるのが明らかに速い手挽きミルの例は、Kinuシリーズ、Apollo、TIMEMOREのplusシリーズです。(この辺は1ZpressoやComandante C40より速いはずです)
TIMEMOREのplusシリーズに関しては、下記の記事をよろしければ参考にして下さい。
追記)2022年6月、下記は栗子Xを使用してから1年半後のレビューです!
以上、ご覧いただき、ありがとうございました。
下記は本ブログのタイムモア関連の人気記事です。よろしければどうぞ!
TIMEMOREのミルで採用されている臼刃の特徴について紹介しています。現行で3種類の刃が製品に採用されていますので、違いが不明な方は参考にして下さい。
下記はお気に入りのコーヒーミル、Timemore (タイムモア) のG1についての紹介記事です。既にノーマル刃のG1に関しては中国では販売が終了していますので、デザイン的な特徴を把握するのに参考にして下さい。挽き性能自体はPlusシリーズについての記事を参考にして下さい。(自分は刃を plusの "E&B" に換装しました)
下記の記事ではTIMEMOREのplusシリーズに関して紹介しています。栗子Xと補完的な性能を持っています。コンパクトでありながら挽ける速度はトップレベルで、コストパフォーマンスもとても高いと思います。(38mm径でありながら、1Zpressoの47mm径よりも速い)
下記の記事はタイムモアのミルのエントリーモデル、タイムモアCについての記事です。実はこの一年で最も使用したミルで、費用対効果が素晴らしく高いです!(現在、栗子Xの導入により取り合えず休眠していますが...)
この記事はタイムモアのSlimというミルに関しての記事です。Slimはデザインに関しては今も変更がないですが、そのデザインにまつわるトピックです。このコンパクトでシンプルなデザインと、他社の大型モデルを上回るplusの極細挽き性能の組み合わせは非常に気に入っています!
下記の記事では栗子Xの導入背景に関して、TIMEMOREの微信公式アカウントの記事を参考に紹介しています。
下記の記事は1ZpressoのJE-plusについての記事です。マニュアル式エスプレッソ用に購入しましたが、思ったよりも性能がとがっておらず、複数ミル持ちには扱いが難しいです。一言でいうとエスプレッソ用途も考慮したバランスのいいミルで、ミルを一つしか持ちたくない場合には向いていると思います。 現状、マニュアル式エスプレッソでは細かい粒度調整よりは挽ける速度や取り扱い易さを重視しますので、TIMEMOREのplusのバックアップ的な活用に留まっています... (結構、高かったのですが...)