以前、Timemore (タイムモア) と1Zpressoのコーヒーミルのそれぞれの挽き豆でコーヒーを淹れると、それらに風味の違いを感じることをお伝えしました。
今回はこの違いが起因すると思われる挽いた豆の粒度分布を、篩を使って詳しく調べてみました。
篩としては目開きが20目、30目、40目、50目、100目、200目の6種類と、篩の直径約0.5mmの穴の開いた微粉セパレーターを使用しました。
篩を使って粒度を確認|まずは微粉セパレーター
まずは上の写真にあるような手持ちの微粉セパレーターを使って挽いた豆を篩ってみました。
この微粉セパレーターは篩の直径が0.5mm程度あり、自分の感覚では篩い分けられる量がちょっと多すぎるので普段は使用していません。(全部篩ってしまうと味的に好みではなく、途中で止めるのも面倒なので...)
※ひとまず以降では、この手持ちの微粉セパレーターで除去した細粒を微粉と呼びます。
【試験条件】下記が試験条件です。(挽き豆の粒度は粗挽きです。最近、よく使っているので...)
- コーヒーミル :タイムモアC、1Zpresso JE-plus
- 挽くコーヒー豆の量 :7.5g
- 挽き豆の粒度 :C (クリック数#27、#32)、JE-plus (クリック数#64)
- 篩う時間 : 2分 (1分ほどで篩い分けはほぼ完了 (変化が無くなる) していますが、念を入れて長めに篩っています)
【試験結果】早速ですが、この微粉セパレーターで篩った結果は下記の通りです。
- タイムモア C
✔ 粒度1 (クリック数 #32):1.0g
✔ 粒度2 (クリック数 #27):1.0g
- 1Zpresso JE-plus
✔ 粒度1 (クリック数 #64):1.0g
以上のように、これら二つのミルで挽いた豆を、微粉セパレーターで篩った結果、含まれる微粉の量は同等です。
使用しているスケールの精度 (0.1g刻み)も良くないのですが、下記のように見た目からもほぼ同じに見えます。
写真左がタイムモア C (クリック#27)、写真右が1Zpresso JE-plus (クリック#64)
微粉セパレーターで篩った限りは、タイムモア Cと1Zpresso JE-plusの挽き豆の違いはよくわかりませんでした。
篩った挽き豆をさらに篩ってみる|微粉セパレーターよりも粗い粒度
手持ちの微粉セパレーターでは差が出なかったので、上記で微粉を取り除いた挽き豆を (粒度の粗い量が多い方)、下記の篩を使用してさらに分粒してみました。(直径5㎝の篩で一つ200~300円程度で購入)
- 20目 :目開き0.90mm
- 30目 :目開き0.60mm
- 40目 :目開き0.45mm (手持ちの微粉セパレーターとだいたい同じメッシュ)
- 50目 :目開き0.35mm
- 200目:目開き0.074mm
この際は目開きの小さい方を下側にして篩を順に重ねていって、5段重ねにして10分間ほど粉の変化が無くなるまで篩いました。
微粉セパレーターで全て分離できていれば、50目の篩に残る挽き豆はほとんどなくなるはずですが、実際には40目をすり抜けて50目の上に残る粒子も若干ありました。
粒子同士がくっついて中々離れないことも考えられ、篩で完全に分離するのは難しいというかもしれません... (このような場合、工業的には水に分散させて分析しますが、今回は趣味の活動なので...)
篩った結果は下記の表のようになりました。(200目の篩にはほとんど残っていないので省略しています)
上の表の結果を写真で見ると下のようになります。
タイムモアCの粒度で#32と#27では#32の方がJE-plusと似ているように見えますが、それぞれの挽き豆でドリップしてみると、いずれにしろJE-plusの挽き豆で淹れたコーヒーの風味とは違いを感じます。(微粉を除かないでコーヒーを淹れての比較)
というわけで、微粉セパレーターで微粉を取り除いた挽き豆をさらに分粒しても、タイムモアCとJE-plusの挽き豆の間に決定的な違いは見つけられませんでした...
篩った微粉をさらに篩ってみる|微粉セパレーターよりも細かい粒度
微粉の量や微粉を取り除いた挽き豆をさらに分粒しても違いがよく分からなかったので、次に取り除いた微粉の方をさらに分粒することにしました。
ここではさらに100目の篩を追加し、下記の三つの篩を使用して微粉セパレーターで分粒した微粉をさらに篩いました。
なお、ここではタイムモアCの挽き豆は、粒度がクリック#32の方に限りました。(クリック#27の挽き豆よりも粒度分布がJE-plusに似ていたので)
- 50目 :目開き0.35mm
- 100目 :目開き0.154mm
- 200目 :目開き0.074mm
篩った結果は下記のようになり、スケールの性能が低いこともあり数字上は差がありません...
ただし、200目の篩上に分粒された粉の量に関しては、下の写真のように明らかな差がありました。(0.1g未満なので、手持ちのスケールでは違いはわかりませんが...)
つまり、100目 (目開き:0.154mm)を通り抜けるような微粉の量に関しては、タイムモアCの方がJE-plusよりも多いことがわかりました。
微粉が多いとどうなの?
以上から、タイムモアCと1ZpressoのJE-plusの風味の違いに、100目の篩を通り抜けるような微粉が影響している可能性があることがわかりました。
実際に100目の篩で挽き豆を篩ってコーヒーを淹れてみれば検証できるのですが、手持ちの篩は小さすぎてやってみる気になれません...
※後日、篩をスケールアップして試してみました。
【追記】直径10㎝の篩を購入して篩ってみました。
下の写真の右が100目 (目開き:0.154mm)で、左が200目 (目開き:0.074mm)
タイムモアCを篩って、100目以下の微粉を取り除いたコーヒーを淹れてみました。
はっきりいってJE-plusに近づいたとは思えませんし、不味くなった感じさえあります...
篩って手間をかけるのであれば、抽出の際にお湯をできるだけ動かさない (ぐるぐる回して注がない)、抽出時間を長くし過ぎないように気を付ける程度の微粉対策の方が自分の好みに簡単に近づけられます。
ちなみにJE-plusも微粉を取ったら不味く感じられました。
自分としては適当に微粉を残しておかないと物足りないようです...
その調整は面倒に感じます...
【風味以外の微粉の影響】
風味以外にタイムモアCとJE-plusで明確な違いとして、挽いた豆のミルの刃の周辺や粉受けへのこびり付き方の違いが挙げられます。
JE-plusの方がこびり付く挽き豆の量が多く、手間がかかります。(タイムモアCの方は叩くとすぐに取れるので、作業が楽です!)
下の写真のようにJE-plusの方は挽き豆の粒度によらずこびり付きます。(左側が極細挽き、右側が粗挽き)
この現象も実は微粉が影響しているのではないかと推定しています。
微粉が比較的多いタイムモアCでは、目に見えないような微粉が実は刃の周辺や粉受けに付着していて、粒径の大きい挽き豆の付着を防いでいるのではないかと考えています。
この考えだと、微粉の少ない高性能ミルほど、上記のような付着が多いというようなことになりますが...
少なくとも静電気だけでは説明は難しいです。
タイムモアCの粉受けは樹脂製で、JE-plusはアルミ製なので...
また、普通にドリップしたりクレバードリッパーでの抽出ではJE-plusを使った方が淹れたコーヒーの風味的に好みだったのですが、松屋式で淹れてみるとタイムモアCでも好みの味に調整できることがわかりました。
風味が好みに調整できると、タイムモアCの方が使い勝手はいいですね...
質感はJE-plusの方が圧倒的に良いのですが…
もちろん微粉は除去していません...
松屋式のドリッパーやフィルターも購入して活用しています!(ちと高いですが、中国でも入手可能でした)
ドリップの手法も奥が深すぎてまだまだ理解できていませんが、少しずつ開拓していこうかと思います。
松屋式の他、高木まろやか式も似た方法で、こちらは手持ちの器具で試せると思います。
この辺りの手法は検索すると、すぐに説明しているサイトや動画が見つかるはずです。
▼参考
以上、最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考までに下記はタイムモアCに関しての紹介記事です。発売から1年が過ぎ、競合品も続々登場していますが、今でもコストパフォーマンスに優れた入門用におススメのミルです。
下記は1ZpressoのコーヒーミルのJE-plusに関しての紹介記事です。このミルを使ってみて、ミルを変えると淹れるコーヒーの風味も変わることに気付きました!
所有感はかなり高く、エスプレッソからハンドドリップまで1台で済ませたい人にもオススメです!