最近ハマっているコーヒーの話です。
今回は、特に手動 (手挽き) コーヒーミルを使ってコーヒーを淹れる方で、
- コーヒーの雑味 (苦味、渋味) が気になる方
- マキネッタの微粉が気になる方
- ポーレックスのようなセラミックス製の刃を使用したミルを使用する際、ハンドルを回すのが重く感じている方 (タイムモアのような金属刃のミルでも、重く感じる場合はどうぞご覧下さい!)
に興味を持ってもらえるのではないかと思います。
テーマは、手動コーヒーミルを使い方 (挽き方) を少し工夫することで、微粉をできるだけ減らして、しかも楽に挽くです。
もちろん篩のような道具も使いませんし、ポーレックスのような比較的お手頃価格の手動コーヒーミルをいかに使いこなすかということが念頭にあります。
そのため、高級なミルを使っている方には役に立たない情報かもしれません...
また、もっと全般的なコーヒーミル (グラインダー) の使い方に関しては、下記のサイトが分かりやすかったです。
▼参考
初心者必見!コーヒーミルの使い方マニュアル|Perfect coffee
手挽きコーヒーミルの使い方 | 美味しいコーヒー羅針盤 by 南蛮屋
粒度を揃える使い方のコツ
現在、わたしは毎日手動コーヒーミルを使って豆を挽いてコーヒーを飲んでいます。(ちなみに日本のポーレックスという会社のミルを使っています)
ある日、そのミルの使い方によって、コーヒーの味が変わることに気付きました。
ミルの使い方といっても粒度を設定したら、下記のような円筒状のミルにコーヒー豆を投入してハンドルを回すだけ...変えられる条件は限られます。
変えられる条件といったら...
そうです、豆を挽く速度、すなわちハンドルを回す速度です。
ある時、ハンドルを急いで回して挽いた粉を使うと、ハンドドリップ時の抽出時間が長くなることに気付きました。
逆にゆっくり回すとその抽出時間が短くなります。
これは挽いた豆の粒子の大きさに差 (粒度に差) があるに違いないということで、下のような篩で違いを確認してみました。
篩った結果は下記のようになりました。
同じ量を篩にかけましたが、見てわかるようにゆっくり挽いた豆の方が篩から落ちる豆の量が少なく、かつ篩上に残った豆もかなり均一に見えます。
つまり、ゆっくり挽いた方が粒度が揃っていて (粒度の分布が狭い)、微粉が少ないということ。
微粉の量がことなる理由については、挽く速度により砕け方が異なることや、速く挽いた方がミルの回転軸がブレ易いのではないかと推定しています。
これが味にどう影響するのかですが、右側の急いで挽いた不揃いの豆の方がハンドドリップ時も抽出速度が遅いので、過剰に苦味や渋みがでたりしやすく、好みの味に調節するのが難しいです。
微粉自体が表面積が大きいため、そもそも苦味や渋みを出しやすいというのもあるかもしれません。
一方、左側のゆっくり挽いた豆は、コーヒーの抽出速度がコントロールし易いため、味の調整が比較的容易です。(抽出速度を遅くしたい場合は、細く注湯すればいいので...)
また、ゆっくり挽いた豆をマキネッタに使用しても微粉が少ないためか、過剰な苦味は出てきにくく、カップに入ってくる微粉も少なくなります。(微粉が減ると圧力が比較的かかり難くなるので、抽出時間がやや短くなっている影響の可能性もあります)
なお、ゆっくり挽くと味が変わる理由として摩擦熱が少ないことが挙げられることもありますが、検証が難しいので本ブログではノーコメントです。
また、味と摩擦熱の関係を家庭用のミルで実際に検証した結果も、私が探した限りですが、見つからなかったです... (むしろ摩擦熱は業務用で大量に挽くときぐらいしか問題にならない気がしています…)
実は微粉や粒度分布の広がりが、必ずしも悪いことだとは考えていません。
その点については下記の記事で考察しましたので、ご興味のある方はどうぞご覧ください。
以上、超簡単ですがコーヒー豆の挽き方を少し変えるだけで粒度が揃い (微粉が減り)、普段のコーヒーの味を美味しく変化させることが可能です。(少なくとも味の調節がし易くなる)
ゆっくりとできるだけ一定の速度で豆を挽きながら、ミルから漂ってくるコーヒーの香りを楽しむのが、最近けっこう好きになりました!
欠点としては、浅煎りや中煎りといった硬い豆ではとても楽しむ余裕なんか無くなって、ゆっくり挽くのはただの苦行...
私の使用しているポーレックスであれば、たとえ滑り止めのゴムバンドを使ったりしても、握る負担が減るだけで、ハンドルを回して挽くときの負担は減りません…
仕方なくもっと高級なコーヒーミルが欲しくなったりするかもしれません… (私はそうでしたが...)
でも、実は高級なミルを購入する前に、試してみてもらいたい挽き方がまだあります!
疲れない挽き方のコツ
手挽きコーヒーミルの使い方で、コーヒー豆を挽く速度に加えて重要なこと、それはコーヒーミルの持ち方 (持つ角度) です。
この持ち方を少し変えるだけで、豆を挽く際の苦労は30~50%は減らすことが可能です。(効果は私の主観ということで...)
通常は下の写真のようにミルを立てる向きで持って、豆を挽いていると思います。
これを下の写真のように斜めに傾けて持つようにします。
こうすることによって、臼刃の中に噛みこまれていくコーヒー豆の量を減らすことできます。
臼刃の中で挽かれている豆の量が少ないほど手にかかる負担が小さくなるので、ミルを傾けて臼刃の中の豆を減らし、楽に挽ける角度を探してみて下さい。
そうすることで豆を挽く負担が大きく軽減し、楽に挽けるようになります。
これで、ゆっくりと豆をを挽くゆとりもできるはずです。
まだ試したことが無い方はぜひ一度試してみて下さい!
なお、金属製の刃を使用したミルでも刃が豆を噛みこむ量が多いと、ハンドルは重く感じます。
そんなときは上と同じようにミルを傾けて、噛みこまれる豆の量を調節すると楽になります。
追記)ポーレックスのマニュアルを見ると、下記のような記載がありました。
ハンドルを水平に持ち、軽く下に押さえながらゆっくりと挽いてください。 (ハンドルの穴の摩耗を防ぐため)
私が使用している限り穴の摩耗は見られませんが、ポーレックスは力の加減によっては軸が少し偏るので、できるだけ穴に力が加わらないようにご注意ください。(できるだけ本体の蓋とハンドルが平行になるように意識して下さい)
早く挽こうとするときは力が入り易いので、たぶん粒度が揃わなくなるのもこの辺りに起因している気がします。(軸がぶれている可能性)
なので、本体を傾けて力をあまり入れないで挽くことは、粒度を揃えるという意味でも有効だと思います。
ゆっくり挽けば美味しくなる!
以上のような話を中国人の同僚に話したところ、こんな中国のことわざを教えてくれました。
" 慢工出细活 (màn gōng chū xì huó) ”
これは、「成功を急ぐことなく、ゆっくりと心をこめてつくってこそ、よいものができる」という意味だそうです。(慢工出细活|百度百科)
まあ、遅ければいいものできる訳でもないですが、この気持ちのゆとりは重要だと思います。
また、下記のようにコーヒー豆が最も香りを放つのは、豆を挽いて粉になった瞬間であることもよく知られています。
手挽きコーヒーミルの使い方 | 美味しいコーヒー羅針盤 by 南蛮屋
最近、コーヒー豆が最も香りを放つこの瞬間を、ゆっくりと落ち着いてその香りを楽しむことが最高の贅沢だと感じています。(特に自宅焙煎した鮮度のよい豆は最高です!)
ちなみに下記は私が愛用しているポーレックスの日本製コーヒーミルです。(昔から定番のミルで、現在は粒度の安定性がより改良された後継品に切り替わっています)
セラミックス製の刃で耐久性・メンテナンス性に優れているので取り扱いが簡単、初心者に向いたミルです。
また、極細挽き~粗挽きと広く対応できるので、自分の好みのコーヒーの淹れ方をいろいろ確かめられます。
シンプルかつここまで広く対応できるミルは少なく、実際に極細挽き~粗挽きと色々挽いてみましたが、実用性はあります。(8ヶ月ほど、ほぼ毎日使った感想です)
ただし、浅〜中煎りとかの硬い豆は挽くのにそれなりに力が必要で、そんなときは、上で述べたように傾けて使えば、何とか切り抜けられるのではないでしょうか...(頻度にもよるでしょうが...)
興味のある方は下記でチェックしてみて下さい。
以上、ご覧いただき、ありがとうございました
追記
ミルへの興味が高まってしまい、結局、ポーレックスよりも高級な手動 (手挽き) コーヒーミルを購入してしまいました... (最近評判いい中国メーカー "Timemore" のグラインダーです)
Timemore (タイムモア) のミルは当然ポーレックスよりも切れ味がいいですが、それでも硬い豆でエスプレッソ挽きにしたいときは、上で紹介したようにやや傾けて挽くとさらに軽快に挽けます。(しかも軸の上下をベアリングでガッチリ固定されているので、ちょっとやそっと力を入れたぐらいでは軸は偏りません。粒度の揃った挽き豆が得られます)
現在、お気に入りのミルです!
下記はタイムモアの手挽きコーヒーミルのハンドドリップ用とエスプレッソ用の刃の違いを検証した記事です。ここではタイムモアのG1とG1Sで比較していますが、他のモデルと刃の形状は同一なので、傾向は他のモデルにも当てはまると思います。(例えば現在のモデルであればタイムモアCとCEなどでも傾向は一致すると思います)
下記の記事はタイムモアの手動コーヒーミルのエントリーモデル、タイムモアCについての記事です。ハンドドリップ用に使っています。
下記はタイムモアのSLIMという手挽きコーヒーミルについての記事で、中国の新興企業であるタイムモアのミルを、ドイツの老舗ザッセンハウスが (うっかり?) パクってしまったという話です。
下記は2020年夏にリリースされたタイムモアのPlusグレードついての記事で、改良された臼刃に関してレビューしています。
下記は、タイムモアの手動コーヒーミルの普段のメンテナンスについての記事です。普段はほとんどブラシを使った掃き掃除しかしてないです...
下記は手動コーヒーミルの電動化を試してみた記事です。タイムモアG1のシャフトの直径は、標準規格サイズなので簡単に試してみることができます。
下記は1Zpressoのコーヒーミル "JE-plus" についての記事です。ハンドルの軽さはタイムモアG1/G1Sよりも上です。ただし、使い勝手や風味の好みもあり、極細や細挽きではタイムモアG1Sを好んで使用しています。JE-plusの方はもっぱらドリップ向けに使用しています。
下記はお気に入りの直火式エスプレッソメーカーのKamira (カミラ) についての記事です。クレマを上手くつくるにはコーヒーミルでの粒度調整は非常に重要です。
下記は上の記事にあるカミラを使ってラテアートをした話です。ラテアートの絵に関してはまだ未熟ですが、味の方は自分ではかなり満足していて、楽しみ方のオプションが一つ増えました。
下記は自宅焙煎の記事です。自宅焙煎した鮮度の良いコーヒー豆をミルで挽くと最高に良い香りが楽しめます!特に現在は片手鍋を使用して自宅焙煎をしています。
下記は片手鍋に出会う前の記事で、焙煎器具として煎り上手や手網を比較した記事です。しかし、現在、片手鍋が一番気に入っています。
下記は、コーヒーの焙煎用器具として片手鍋を初めて知った話です。ずいぶん遠回りしてしまいました...まさに灯台下暗しでした...自宅焙煎に興味のある方は是非ご覧ください!
下記の記事で紹介している片手鍋が現在焙煎に使用しているもので、上記の記事で紹介している片手鍋よりも鍋底が薄いタイプです。(価格も安いです)