※今回は最近ハマっている自宅焙煎について紹介します。
私は日本に住んでいたころ、一日に4、5杯はコーヒーを飲んでいるくらいのコーヒー好きでした。
でも中国の広東省ではコーヒーはまだまだメジャーではなく、コーヒーショップも少ないし、深センのスーパーでもせいぜいインスタントコーヒーが置いてあるかどうかといったところです。(上海なんかは色々とありそうですが...)
こんな状況に非常に物足りなくなり、ついにコーヒーの自宅焙煎というマニアックな領域に足を踏み入れてしまいました...
自宅焙煎の中でも一番お手軽な手振り焙煎というやつです。(家庭用のガスコンロを使用します)
参考までに自宅焙煎については下記のUCCのサイトにコンパクトにまとまっています。
>>>焙煎する | おいしいコーヒーの淹れ方 | 知る・楽しむ | コーヒーはUCC上島珈琲
コンロでコーヒー豆の焙煎に挑戦!
用意したのはこの写真にあるような焙煎器と生豆 。(焙煎器の方はすでに50回ほど使い込んだ後です)
これらは日本に帰国した際に購入してきましたが、生豆は中国でもネットで購入できます。(上の豆は日本の生豆本舗さんで購入したもの)
私が買った焙煎器はこの "煎り上手”。
他にももっと価格も安い銀杏を煎るような網のタイプもありましたが、Amazonのレビューを見てこちらに決めました。(自家焙煎にすると焙煎した豆を購入するのに比べれば、煎り上手にしろ網にしろコーヒーを飲むのにかかる費用かなり安くなります)
決め手は一度に煎る量と掃除の容易さです。(あと、見た目が頑丈そうだから)
まず煎る量に関しては、"煎り上手” が一回に50~60gが適量に対し、網の方は大体が100~200gと多めです。(基本的に焙煎器のサイズによって適量が決まり、スカスカに詰めると熱が逃げやすく、詰めすぎるとムラになりやすいです)
量が多いと失敗したときの処理が大変なので、まずは少量で始めたいと思いました。
でも、最近はもう少し焙煎量が欲しいので、網も買ってみるかもしれません...
※追記1) 手網も安かったので中国で買いましたので、比較レビューを下の記事にしました。
簡単に言うと網の方が煎りムラが大きくなり易く (直接火があたる構造であることと、容器の底が比較的平らで形状的に煎り上手よりも混ざりにくいため) 、掃除も大変な印象です。
私としては煎り上手の方があっているようです。(ただしスケールアップはしたい...)
※追記2) そして2020年1月現在、ついに納得のいく自宅で使える焙煎器具に出会えました。
なんと、蓋付きの片手鍋です...
結局、それでいいのかという感じですが、実際に焙煎してみると明らかに違いがわかります。
香りというか風味が違うのもわかりますし、チャフも飛び散らないのでレンジ回りを汚しません.
片手鍋、おススメです!
鍋選びのポイントは下の記事に書いてあります!
※追記3) 2020年11月現在、手鍋焙煎からさらに電子レンジ焙煎へと手を広げました。特に短時間焙煎において焦げや芯残りといった問題が非常に少なく、クリアな風味に仕上がります。(現状、電子レンジ焙煎に落ち着いています)
また、掃除の容易さについては、下の写真を見てわかるとおり焙煎時に豆から薄皮 (チャフ) が大量に剥がれ落ちます。(片手鍋で焙煎すればほぼ解決します)
"煎り上手” の方は、薄皮がある程度内部に溜まりますが、網の方はコンロの周辺に全て落ちることになります。(とはいっても、"煎り上手” の方も上部の開放部からわらわら出てきますが...)
一方、"煎り上手” のデメリットとしては豆の色の変化が分かりずらいことです。(片手鍋で焙煎すれば解決しますが…)
この辺は一瞬焙煎器 "煎り上手” を傾けて光を当てたりして、何とか対応しています。
あとは音の変化、豆が柔らかくなると音も若干変化するので、これを注意して聞いています。
手振り焙煎のやり方は、ザックリ説明すると、焙煎器に生豆入れてガスコンロの火で煎るだけ。(10~15分くらい)
しかし、わからないことだらけなので、最近は下の本で理論武装しつつ試行錯誤を繰り返しています。
味がイマイチ、なぜ? → 本を読みつつ理由を考える → 次はここを変えてみよう!
この繰り返しです... (仮説を立てて検証の繰り返し! 製品開発の仕事と同じです...)
詳しいやり方は、また後日書こうと思います。
▼参考:上記の本の内容が部分的に下記のサイトで公開されています。
焙煎初心者は試行錯誤してやってみるしかない
で、出来上がった一例が下の写真です。
まだ慣れていないころの焙煎した豆の写真です。
苦味の多い深煎りにしたので、油が浮き出て光沢が出ています。(決して古いわけではありません)
これ深煎りにしたのは理由がありまして、最初の生豆選びにも関係があります。
私はキリマンジャロ (タンザニア) みたいなアフリカ系の豆を若干酸味が残る程度に焙煎したものが好みです。(巷では中深煎り、フルシティローストとか呼ばれている焙煎度合いです)
しかし、後になって知ったのですが、こういったアフリカ産 (特に標高が高いところ) の豆は皮厚で硬く火も通りがたいため、初心者には焙煎がなかなか難しいものということでした。(ついでにインドネシアのマンデリンも難しかった...知っていたらもっと簡単な豆からを購入していました)
硬い豆は焙煎が上手くいかないと渋みが残りやすく、失敗すると非常に不味いコーヒーに仕上がります。
ミルクを入れてもどうにも飲めません...渋みとミルクの相性もひどいものです...お店では買えない、やってみた人にしかわからない味です...
これを避けるためによく焙煎したのが上の写真で、渋みに痛い思いをしていた頃に焙煎したものです。
渋みよりもよく焙煎して苦くなった方がマシという消極的な理由です。
中煎り、浅煎りなんて、渋みが怖くてなかなか試せませんでした...
ゆっくり時間をかけて焙煎すれば渋みを失くすことは簡単ですが、時間とともに風味も減っていきます。(同時に色はマイルドでも苦味も強くなってしまいます)
風味を残しつつ、渋みを失くすには火加減と時間の調節をひたすら試行錯誤することがとても重要です。
で、その上で重要だと思ったのは焙煎中に何が起こっているのか、イメージしながら実際に焙煎してみることです。(焙煎は物理変化と化学反応のミックスです)
そしてできたコーヒーが予想したのと違った場合、何が原因なのかイメージしていきます。(例えば最初に含水が十分減る前に強火で煎ってしまったなど…)
そしたらそのイメージを元に次はこう焙煎したら、こんな味になるんじゃないのかなと予想し、実際に再度焙煎してみる。
好みの味に近づけるには、この繰り返しです。(やみくもに焙煎していたら、上達するのに超〜時間がかかると思いますよ。これは科学実験にも通じるところなので、エンジニアの私にはある程度確信があります...)
そのイメージを作るためには上述した書籍 " コーヒーの科学 (ブルーバックス) ” なんか理論的に書かれているので大いに役に立ちます。(私は最初にこういった本で勉強していなかったので、適当にもタンザニアやマンデリンを購入したりもして、その特徴も把握せずに焙煎に挑戦し、散々渋いコーヒーを飲むハメに...)
例えば生豆の原産地によっても焙煎のし易さは異なり、それはなぜなのか?
調べたところ、焙煎初期の水抜きと呼ばれる工程もとても重要で、水抜き不十分だと非常に渋いコーヒーができ易いのですが、硬い皮のタンザニアやマンデリンの生豆はこの水抜きが難しい方に分類されます。
逆にブラジルの豆 (※) は皮が柔らかく水抜きが容易で焙煎し易く、実際に焙煎してみても、初心者にも色々と焙煎度合いを変化させて楽しめることがわかりました。
※ブラジルにも種類がたくさんありますが、私が試したのは産地がセラード地区、処理方法がナチュラル処理で、豆の種類は黄色カツアイです。(中国で購入)
そして、硬い豆を上手く焙煎するには、水抜き工程が初心者にとっての最初の課題で、少なくともこれをクリアしないとこタンザニアやマンデリンを自家焙煎で楽しむことができません。
こういった豆の違いは実際に煎ってみれば初心者にも一目瞭然で、コーヒーは本当に身近なところにある科学実験の素材みたいなものです。
追記)ブラジルの豆を穀物に例えるなら、果物っぽいのが中国雲南産のコーヒー豆です。こちらも焙煎し易く自家焙煎の醍醐味を楽しめるので、最近は雲南コーヒーを飲むことが多くなりました。
自宅焙煎、楽しいです!
というわけで、実際に自家焙煎をやってみて、やはり市販の焙煎豆とは鮮度がまったく異なるためか、格別に美味しく感じられます。
自分で焙煎しているので思い入れもかなり入っています。
でも、まだまだ自分のイメージした味に近づけるのはなかなか難しいので、ひたすら実験しています。
レンジ回り汚したって怒る人もいませんし... (なお掃除機は購入済み)
たぶん実験が好きな人はハマる可能性が高いです...
コーヒーの自宅焙煎、かなり楽しいです!
追記) 過去の自分にアドバイスできるとしたら絶対にこう言います...
「早めに片手鍋に切り替えて焙煎スキルを磨いた方がもっと楽しいよ!」
以上、ご覧いただき、ありがとうございました!
以降では本ブログのコーヒー関係の記事を紹介しています。よろしければご覧ください!
下記はお気に入りの直火式エスプレッソメーカーのKamira (カミラ) についての記事です。自宅焙煎した新鮮なコーヒー豆を使うと、直火式ながらなめらかなクレマもつくれます。
下記はカミラのフィルターホルダーへのコーヒーの充填性を改善するために、なんちゃってファンネルをつくった話です。
下記は、ロブスタ種のコーヒー豆を使用したときのクレマのつくり易さを、直火式エスプレッソメーカー (マキネッタ) であるカミラで検証した話です。
下記の記事では自分なりの手動コーヒーミルの使い方を紹介しています。焙煎したてのコーヒー豆を自分で挽くのは、一番コーヒー豆の香りを楽しめる瞬間だと思います。
下記は現在お気に入りのコーヒーミル、Timemore (タイムモア) のG1についての紹介記事です。G1は同社のフラッグシップモデルに相当します。
下記はタイムモアのミルのハンドドリップ用とエスプレッソ用の刃の違いを検証した記事です。ここではタイムモアのG1とG1Sで比較していますが、他のモデルと刃の形状は同一なので、傾向は他のモデルにも当てはまると思います。
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下記はタイムモアのSLIMというコーヒーミルについての記事で、中国の新興企業であるタイムモアのミルを、ドイツの老舗ザッセンハウスが (うっかり?) パクってしまったという話です。
下記は、タイムモアのコーヒーミルの普段のメンテナンスについての記事です。普段はほとんどブラシを使った掃き掃除しかしてないです...
下記も片手鍋に出会う前の記事で、焙煎器具として煎り上手や手網を比較した記事です。しかし、現在、片手鍋が一番気に入っています。
下記は、コーヒーの焙煎用器具として片手鍋を初めて知った話です。ずいぶん遠回りしてしまいました...まさに灯台下暗しでした...自宅焙煎に興味のある方は是非ご覧ください!
下記の記事で紹介している片手鍋が現在焙煎に使用しているもので、上記の記事で紹介している片手鍋よりも鍋底が薄いタイプです。(価格も安いです)
下記の記事では焙煎器具として電子レンジを使用しています。短時間で焙煎する際には鍋焙煎では芯残りや表面の焦げが課題になりますが、電子レンジではそれらは問題になり難く、クリアな風味の焙煎が可能です!
下記ではあっさりが特徴と言われる雲南コーヒーを紹介しています。現在、お気に入りのコーヒー銘柄です。