最近、中国在住の地の利を生かし、中国や台湾のコーヒー道具をちょくちょくチェックしています。
特に台湾系はYoutubeにも多くの動画があったりしますので、中国語の勉強も兼ねて見ています。
そして、ついつい購入してしまったのが、1Zpressoという台湾企業の手動式エスプレッソメーカー "Y3" です。
1Zpresso - 公式サイト (コーヒーミルが有名で、日本でも一部販売しています)
以前から機械式のエスプレッソマシンに興味はあるものの、なかなか購入には踏み切ることができずにいました。
その理由をざっくり挙げると、
- メンテ、故障が不安 (何かあったら中国語で応対しなければならない)
- 良い機種を入手しても電源仕様が異なるので日本に持ち帰って使えない (いつの日か中国から去る日を想定...いつ帰るのか未定なのですが...)
といったところです。
そんな折、たまたま目にしたのがの1Zpressoの ”Y3” です。
【ENG SUB】1Zpresso Y3 手壓咖啡機-金屬特仕版 - 1Z - Y3 Portable Coffee maker (Stainless Steel powder container)
見ての通り、”Y3” はポンプ式のハンディタイプのエスプレッソメーカーなのですが、この手の器具にしては珍しく金属パーツを多用していて、質感が高く頑丈そうなところにも魅かれました。(1Zpressoの売り方も金属仕様を前面に出しているので、たぶんそこに魅かれる人が一定数はいるのでしょう)
価格も日本円で8,000円程度と、他のハンディ型と比較しても高くなく、むしろ安い部類です。(姉妹機種でプラスチックを多用した軽量なアウトドア向けの "Y3.3" だと、5,000円を切る価格でさらにお手頃です)
これらのスペック等の詳細は下記の公式サイトが詳しいです。
というわけで、今回は手動式エスプレッソメーカー1ZpressoのY3を紹介します。
手軽にエスプレッソを入れることに興味のある方は見てみて下さい。(加圧弁を外したりすると、手軽ではありませんが...)
以前から使っている直火式のエスプレッソメーカーとも比較してみます。
※なお本ブログのエスプレッソと呼んでいるコーヒーは、抽出条件等、イタリアエスプレッソ協会 (INEI) の定義するエスプレッソ (espresso) には必ずしも当てはまりません。
- 1Zpresso Y3の外観と分解した様子
- 使用する際の注意点
- 加圧弁ってどうなの?
- 掃除|注意するのは粉を詰めるバスケットだけ
- 直火式のマキネッタと比較|Kamira (カミラ) 、モカエキスプレス
- まとめ|良いところ、悪いところ
1Zpresso Y3の外観と分解した様子
外観は上記のような感じで、金属パーツを使用している関係で本体だけで約700gもあるのでそれほど持ち運びには向いていません。
オプションの架台を含めて頑丈で、両手で体重を掛けても全然平気です。(豆を細かく挽き過ぎて詰まったときに実感しました...)
分解すると下のようになります。
造りは結構シンプルだと思います。
左下に写っている金属のバスケットがコーヒーを詰める部分で、連発でコーヒーを淹れたいときはこのバスケットのスペアを購入した方がスムーズです。(バスケットを詰め替えて連続で抽出する)
その金属のバスケットを分解すると下記のようになります。
このバスケットは加圧弁が付いたもので、過去にはボトムレスフィルターのタイプも余興的な意味合いで限定販売されましたが現在は販売されていません。
この加圧弁のおかげで挽き豆のメッシュやタンピングなどの面倒な調整に時間をかけずに、お手軽にクレマがモリモリのエスプレッソが楽しめます。
また、右上の三つ穴の開いた加圧弁を外すとボトムレスほどではありませんが、開放系に近くなります。
この加圧弁を外した方が挽き豆のメッシュ調整やタンピング調整さえうまく行けば、香りの出方がいいような印象ですが (錯覚かもしれませんが...)、それらの調整は手間と慣れが必要です。
先にに少し述べておきますが、個人的には加圧弁が付いたまま使用してもクレマもとても滑らかでエスプレッソも美味しく感じられます。(濃厚なのにまろやかな苦味を感じられます)
この点についてはまた後でご説明します。
使用する際の注意点
大まかな使い方は上のメーカーの動画を見てもらえばわかると思いますので、使ってみて気付いたポイントを挙げてみます。
パーツの加温 (予熱)
手動のポンプ式はヌルくなりやすいので、以下の3点は使用前の加温 (予熱) はしておいた方がいいと思いました。(少しお湯を多めに沸かして使用しています)
- コーヒー粉を充填するバスケット
- 本体の筒 (特に下部の金属部)
- カップ
ポンプの筒の水抜き
使用後、この筒の水はプッシュして完全に抜いておきます。
抜いておかないとこの内部の水が混ざって、ヌル~いエスプレッソに仕上がります...
個人的にはこの水抜きをうっかり忘れることが何回かあり、意識的にチェックするようになりました。
分解する順番
逆流防止弁が付いているため、使用後に負圧になっている場所があります。
簡単に分解するには上から分解していきます。(押す部分が付いている上部の蓋を一番先に外します)
以上が使用時の注意点で、取り扱い自体はそれほど難しくはありません。
加圧弁ってどうなの?
上にも書きましたが、以前にフィルターバスケットのボトムレス仕様も限定販売したこともあるようです。
現在は加圧弁仕様が標準ですが、加圧弁を外してボトムレスに似た感じで使うことも可能です。
加圧弁を外した場合は挽き豆のメッシュ調整とタンピングで圧力調整をしなければなりませんが、これは結構大変でまだ使いこなすというレベルには至りません。
詰まったり、シャバかったり...
香りの出方は加圧弁を使わない方がいい感じですが、加圧弁を使ってエスプレッソを淹れてもジワジワと香ってくる印象で、個人的にはボトムレスは労力に見合わないかなと... (蒸らし時間で香りや濃さはある程度調節できます)
ただし、加圧弁を使わない場合でも挽き豆のメッシュ調整や軽目のタンピングはしていて、最後の微調整を加圧弁に任せる感じで淹れています。(加圧弁がついていると、液がバスケットに満たされるまでの間 (+蒸らし時間) にどんどん粉が圧力で締まっていくので、強いタンピングは不要です)
加圧弁を使ってもクレマはとてもクリーミィで、飲み終わるまで残っています。
このエスプレッソは想像以上にクリーミィかつ濃厚で、砂糖を入れて飲むとデザート感覚です。
比べると、直火式エスプレッソのカミラの方はあっさり、スッキリした印象です。
掃除|注意するのは粉を詰めるバスケットだけ
使用後の掃除についてですが、下記の動画からわかるようにかなり簡単です。
1Zpresso Y3 手壓咖啡機-金屬特仕版 粉杯清潔教學- 1Z - Y3 Portable Coffee maker (Stainless Steel powder container)
コーヒーの粉や液体はステンレス製のバスケットの中から本体部分には漏れません。
そのため、本体がコーヒーで汚れるということもなく、通常は水洗いで十分です。
ステンレス製のバスケットはコーヒーの油分が付着すると思いますので、たまに洗剤で洗っています。
下記のようにコーヒーのカスもケーキ状なので楽に取り除けます...
その他、ポンプの中の筒は40~50回に一回オリーブオイルでのメンテナンスが推奨されています。(潤滑のため)
まだ、実施したことがないですが、下の動画のような感じで実施します。(一番、右側がオイルで、オイルを吸った後、余分なオイルを洗い流しています)
直火式のマキネッタと比較|Kamira (カミラ) 、モカエキスプレス
マキネッタとY3を比較し、自分の好みをまとめてみます。(主観100%です)
表現の語彙力もかなり乏しいですので、ご参考までに...
簡単にいうと、今回のY3が一番どっしりした感じの風味で、いい意味で香りも強い印象です。
また、下記は3→1の順に自分の好みになっています。
風味 (ブラックもしくは砂糖を入れて飲むなら)
- Y3 (クレマがあると濃厚なのにマイルドなのがわかります)
- カミラ
- モカエキスプレス
風味(アメリカーノにして飲むなら)
- カミラ (カミラの方がすっきりして好きです)
- Y3 (カミラと比べてディープな風味、気分次第でこちらでもOK)
- モカエキスプレス
風味(ラテにして飲むなら)
- カミラ、Y3 (Y3はまだ検討の余地が大きいですが...)
- モカエキスプレス (3cupしか持っていないのでミルクとのバランスが好みでない)
お手軽さ
- カミラ
- モカエキスプレス
- Y3 (事前に温めたり、極細挽きに挽くのが少し手間です)
- ベルマン CX-25 (大量の湯を沸かす時間、ネジの開閉、掃除...)
現状、モカエキの出番はほぼ無く、極たまに氷ぶっかけアイスコーヒーに使う程度です。
CX-25に関しては完全に出番は無く、一度しかコーヒーを淹れていませんので風味の評価からも外しました... (現状はただのコレクションになっています)
まとめ|良いところ、悪いところ
以上、1ZpressoのY3を使ってみての感想をまとめてみます。
自分としては手動式に興味はあったのですが、いきなり高価なレバー式に行くのは自分自身が躊躇したこともあり、この1ZpressoのY3を購入しました。
一言で感想を言うと、カミラとは違うエスプレッソをこれはこれで楽しめているので購入してよかったかなと思っています。
参考までに、下記に良いと思うところと悪いと思うところもまとめました。
良いところ
- 手軽にマシンを使わずにエスプレッソが淹れられる
- マキネッタとは明らかに別の風味で、異なるエスプレッソが淹れられる
- 価格もリーズナブル (約8,000円)
- 金属パーツ多用で質感が高い (実際の耐久性評価はこれから見ていく)
悪いところ
- 日本で入手性が悪い
- 抽出圧力が見えないので、再現性やコントロールがアバウトになりがち (慣れれば大丈夫そうですが...)
- クレマが厚いのでラテアートは難しい?
- 予熱しないとヌルくなりやすい
以上、ご覧いただき、ありがとうございました!
下記の記事では、お気に入りの直火式エスプレッソメーカーのカミラを紹介しています。自宅焙煎した新鮮なコーヒー豆を使用すると、直火式ながらなめらかなクレマがつくれます。(当然、今回のY3ほどのクレマはでませんが...)
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