
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
- 作者: ちきりん
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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私は中国でエンジニアとして働いているわけですが、エンジニアであってもどういう製品が世の中に受け入れられるのかなということは常に考えています。
やはりここに関してはとても重要なことなので、セールスやマーケティングだけに任せておけないばよいとは思っていません。
そんなわけで、特に今回は日本製 "Made in Japan" だけでなく、日本市場で通用している "Used in Japan" という視点でも製品やサービスを考えてみませんか? という話です。
知人の中国人の話がきっかけ
工場の立ち上げに際し、お世話になっている設備屋の中国人がいます。
この設備屋の趣味は魚釣りでして、旧正月前、彼から日本で釣り用具の買い物を頼まれました。(春節休暇中、私が日本に帰国するので)
その買い物リストを確認すると、4.5mの渓流竿 (渓流で使う釣り竿) がありましたが、現在、こういったものはほとんどが中国や東南アジアで製造されています。(日本の釣り針なんかも中国で人気がありますが、これはたいてい日本製です)
そこで彼に「日本製ではなくてもいいのか?」と尋ねると、すぐに「問題無い」との返事。
どうやら最初から知っていた様子...
これは何を意味するのでしょうか?(メーカーに勤めている人には分かり難いかも...)
日本市場で実績があることに意味がある
念のため確認してみたところ、この中国人の彼にとって大事なのは、日本製 "Made in Japan" ではなくて、目の肥えた消費者のいる日本の市場で評価され、通用しているという実績 "Used in Japan" でした。(ちなみに日本の釣り用具は中国で人気があります)
言いかえると、 "日本で売れているいるなら大丈夫” という日本市場で通用している製品へ信頼感です。
そして、必ずしも日本製 "Made in Japan" でなくとも、日本市場でブラッシュアップされた製品 "Used in Japan" は海外で通用する可能性があるともいえます。(実際にそういう製品もたくさんありますね。ユニクロとか、自動車とか...中国では中国生産の日本ブランドの自動車も、中国メーカーのものよりも優れていると認識されています)
経験上、日本のメーカーは日本製にこだわるところが少なくないと思いますが、高い賃金、人口減によるマーケットの縮小により、多くの日本の会社にとって今後も日本製 "Made in Japan" にこだわり続けるのはますます難しくなっていく流れです。
そんなときに「自分たちは何を売っているのか」、「顧客は誰なのか?」、「顧客はどこに魅力を感じているのか」といったことを考え直すのは大事なことだと思います。
自動車、化粧品、生活用品といった日本製品が中国で人気なのはご存知の方も多いと思います。(釣り用具も人気があるというのは中国に来て知りました)
一方、テレビやスマートフォンといった家電製品のカテゴリーでは、日本製品は中国で全く存在感はありません。
このことは中国の電気屋に行ってみてよくわかりました。(売り場で見つけることがなかなか難しいです。今や韓国のサムスンでさえ片隅に追いやられています)
中国国内に限れば、こういった製品では自国メーカーへの信頼性はかなり高まっています。(長期の保証期間や24時間の相談窓口といったサービスの充実にも力をいれています)
私も中国メーカーのエアコン、洗濯機を購入しましたが、特に問題なく使えています。
中国の方が日本メーカーのブランド価値をわかっている!?
そんな状況でも中国の家電メーカーは、日本の家電メーカーの中に価値を見出していたようです。(例えば、下の記事を見て下さい)
上の記事にあるように中国の家電大手の美的集団が東芝の家電事業を買取りましたが、東芝ブランドの使用権も買取りました。
もちろん東芝の家電はすでに日本生産でもありません。
つまり、生産国がどこかということでなく、東芝ブランドそのものに価値を見出しているということです。
そして成長率の低い日本で販売を伸ばすのでなく、東芝ブランドを活用して成長率の高い中国や東南アジアで販売を伸ばす方針を掲げています。(東芝ブランドを付与する製品はもちろんハイエンド製品)
上の記事によれば売却された東芝の家電事業の出足は好調のようで、個人的にはうまくいってほしいと思っています
その場合、中国資本の方が日本ブランドの活用が上手いということにもなるので気持ちは複雑ですが、もはや国境で区切って考える意味もそれほど無いとも思っています。
世界に通用するブランドを期待
とはいっても、実際に中国に住んでみて高品質な日本のブランドが評価されるのはやはり嬉しいものです。
生産国としてスゴイ日本というところにとどまらず、日本のメーカーには世界に通用するブランドをどんどん生み出してほしいです。
「自分たちは何を売っているのか」、「顧客は誰なのか?」、「顧客はどこに魅力を感じているのか」といったこと、すなわちマーケット感覚を考え直したい方には下記の本がおススメです。(製品開発のエンジニアにもそういう視点は必要だと思っています)

マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
- 作者: ちきりん
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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