エンジニアの中国ブログ

中国の広東省在住、現地企業勤務のエンジニアです。中国生活で体験したことや趣味の話を中心に発信していきます!

安藤製靴|登山靴にルーツをもつ堅牢な革靴の紹介

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安藤製靴のチロリアンシューズ "OR1" | 皮革はクロムエクセル、2010年購入

今回は自分の好きな革靴メーカー “安藤製靴" の話。

革靴といっても普段はスーツを着る仕事ではないので、もっぱらカジュアルに履ける革靴です。

安藤製靴とその革靴の特徴や購入時の注意点、私の気に入っている靴などを紹介します。

 

 安藤製靴の紹介

安藤製靴の概略

安藤製靴は1959年創業の歴史の長いメーカーで、登山靴や登山靴の技術を生かしたアウトドアシューズで定評があります。

店舗は東京の錦糸町のみなので出張のついでにお店に来るお客も多いそうです。(その錦糸町の店舗は火・木・土の週三日しか営業していません)

 

 << 安藤製靴ホームページ (ホームページのデザインは15年以上変わっていないです...)

 

安藤製靴の直営店の場所は下記のとおりです。

 

安藤製靴の製品ラインナップ

その安藤製靴には「PULSE」と「NERO」という2つの製品ラインがあり、「PULSE」には昔ながらの登山靴やワークブーツが、「NERO」にはバイク・タウン向けブーツがラインナップしています。

PULSEの例
  • 登山靴:7000G (本格的な登山靴)OR-8 (町履きも可能) など
  • ワークブーツ:OR-5 (モカシンタイプ)、OR-6 (プレーントゥタイプ) など
  • チャッカーブーツ:250 (定番)、250 スコッチ (次に買うとしたらコレ)
  • 短靴:OR1OR2ホットスタッフなど (この三つは別途紹介)

 

NEROの例
  • Nero (安藤製靴の靴にしてはスマートで、Web上に多くの写真が見つけられる人気ブーツ)
  • ZII (モンキーブーツ。せっかく所有しているのに履く機会がない...)
  • JEREMY 6th (実物をお店でみてすごく欲しくなったが、自分に似合わないと思ってあきらめた...)
  • 他多数 (興味のある方はホームページで確認してください!)

 

安藤製靴のこだわりはノルウェージャン製法と厳選された素材

昔は登山靴中心のビジネスだったようですが、現在はそれ以外のアウトドア向けに多くの製品を展開しています。

その共通の特徴としては、ノルウェージャン製法(ノルウィージャン製法)という登山靴の製造に使われていた製靴法と厳選された素材で堅牢な靴を製造していることが挙げられます

 

ここで、そのノルウェージャン製法って何なの?と思った方、時間のあるときに下記の記事も是非見てみて下さい。

私なりにノルウェージャン製法に関して調べた結果をまとめています。

 

 

さらに、そのノルウェージャン製法で作られた登山靴のDNAを最も強く引き継いでいる (と私が勝手に思っている) 安藤製靴製の "ホットスタッフ" の分解レポートが下記です!

 

 

安藤製靴は製法だけでなく使用する素材にもこだわっており、皮革の品質管理は厳しく、基準に見合うものが入手できないと製造を遅らせたり、販売中止になったりします。 

このような安藤製靴の職人気質のモノづくりのスタンスにも惹かれ、私はここの靴をいくつか所有しています。

最初に購入したのは15年ほど前で、下記のシーホースという靴です。 (見ての通り武骨な靴です)

残念ながら、このシーホースは既に廃盤に...

 

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安藤製靴のシーホース

 

安藤製靴を知るまではあまり靴に興味もなく、履き潰すような気持ちで靴も選んできましたが、ここの靴を履いて以来、手入れしながら長く使っていく " 育てる ” 面白さを知りました。

当然、手入れしながら長く使っていきたい人に応えるための十分な耐久性と品質を持っています。

 

購入時に注意する点

雨が苦手

ただし、意外かもしれませんが雨は苦手です。

コバの縫い目から水が簡単に侵入してきます。

 

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 安藤製靴のシーホースのつま先

 

上の写真の矢印の部分がコパですが、この部分の縫い目 (ステッチ) から水が浸入してきます。

上記のシーホースは縫い目に目止め処理が施されているので浸水経験はありませんが、現行の安藤製靴の靴の大半は目止め処理がされていません。(後で紹介するOR1やOR2なんかは、経験上、ちょっとした雨でも浸水してきます)

ステッチの太い糸太い縫い穴なので、浸水はむしろ容易でしょう。

 

ノルウェージャン製法は防水性がいいと耳にすることもありますが、縫い目に何の処理もしなければ防水性には乏しいです。(皮革自体はオイルドレザーなので、多少の雨は問題ないのですが...)

こういった靴は雨の日には履かないか、履くのであれば縫い目に何らかの処理をした方がよいと思います。(私は目止め処理していない靴は、基本的に雨の日には履きません。一応防水ワックスは塗り込んでありますが...)

この点はアウトドアイメージが強い人だとがっかりするかもしれませんので、購入を検討する際は頭に入れておいた方がよいでしょう。

 

サイズ選び

あとはサイズ選び(安藤製靴HPの説明) ですね...

実際のところ、革靴なのでサイズはしばらく履いてみなければわからないと思います。

ブーツだったら紐で調節できる範囲が広いのでそれほどシビアではないと思いますが、短靴の方ははっきりいって難しい...

少しでも参考になればと、私の持っている靴のサイズ感を下記にまとめました。

 

 

支払い方法

安藤製靴の靴は安くはないですが、支払い方法はいまだに現金のみで、店舗に行くときは注意が必要です。

 

育てる楽しみ

安藤製靴の靴はかなり頑丈で、複数所有しているとなかなか " 育って ” くれません。

しかし、今回の中国転居こそ安藤製靴の靴を " 育てる " チャンスだと思っています。(少し田舎に行けば悪路は多いし、人ごみに行けば踏んだり蹴られたりで、靴に掛かる負荷は日本より大きいはず...)

引き続き、中国でも安藤製靴の靴を育てていきます!(華南地区は緯度が沖縄と近いので、暑くてブーツは履く機会が無いかも... 短靴でも結構暑い...)

 

一年後追記)スコールみたいな雨が多く暑いので、ほとんどホットスタッフとシーホースしか履いていないですね...

 

 

以降、記録の意味も込めて、私の持っているチロリアンタイプの "OR1" とブラッチャータイプ (外羽根式) の "OR2" を紹介します。

また、簡単ですが私の手入れの方法も紹介します。

安藤製靴の革靴に興味のある方は、是非ご覧ください!

 

 チロリアンタイプのOR1 & ブラッチャータイプのOR2

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安藤製靴OR1 & OR2|室内で撮ると色味が若干異なります。

 

今回のOR1とOR2は、共に皮革はクロムエクセルを使用していた旧型になります。

クロムエクセルとは米国のホーウィン社が古くから製造しているオイルドレザーで、足に非常に馴染易く (柔らかく伸び易い) 、独特の光沢がある鞣し皮革です。

 

Chromexcel® — Horween Leather Co. (ホーウィン社の公式サイトです)

 

クロムエクセル自体は有名で上記のリンク先に詳しい説明もあるので詳細は省きますが、近年、品質低下が原因で安藤製靴の要求水準を満たしたものの入手が難しく、安藤製靴では使用を中止しています。(OR1やOR2は、2018年現在、別のオイルドレザーで製造されていて、例えばOR1は ベスタ社 (公式ホームページ) のレザーが使われています)

 

ベスタ社のレザー "ケベック" を使用したOR1については下記の記事で紹介しています。

一言でいうと、クロムエクセルより丈夫で伸び難い感じです。

 

クロムエクセルは伸び易かったり、ヘロヘロになり易かったりと欠点もあるので、私としては他のオイルドレザーでもOKですが、特徴のある皮革なのでまたいつか復活して欲しいです。

 

以下、まず最初はチロリアンタイプの OR1から紹介します。

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安藤製靴OR1|この光沢はクロムエクセル独特です。 (屋外にて)

 

 

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OR1のつま先付近|コバのデザインも特徴的で、工芸品みたいでデザイン的に好きです。浸水してこなければもっと好きですね...

 

 

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OR1|やや水平方向から

 

 

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OR1|前方から 

 

 

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OR1|斜め後ろから

 

続きまして、ブラッチャータイプのOR2になります。

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安藤製靴OR2|皮革はクロムエクセル、色はバーガンディです。

 

 

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OR2|コバ部分のデザインはOR1と共通です。

 

 

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OR2|横から

 

 クロムエクセルの手入れ

“ 育てる " と言っても、クリームやオイルを使用した手入れはほとんどしません。

クリームやオイルを使い過ぎると、このクロムエクセルという皮革はすぐにヘロヘロになって光沢も失われ、" 育つ "というよりは、汚く経年変化します (経験済み)。

オイルやクリームの使い過ぎが良くないことは、どんなオイルドレザーにも共通することですが、クロムエクセルは特にその影響が顕著に表れます。

 

これらのクロムエクセルという皮革は最初からオイルをたっぷりと含んでいるで、さらにオイルを含ませると一気にヘロヘロになります。(使う加減の見極めも難しいです)

そのため、手入れはブラッシングと乾拭きが中心です。

革靴好きはクリームやオイルを使用して、手入れをしたくなりますが、我慢が必要です。

 

たまにポリッシュを使用しますが、安藤製靴でおまけに付けてくれるKIWIのポリッシュは、黒、茶、ニュートラル (透明) のみでバーガンディ色がありません。(ポリッシュはオイル成分が少ないケア用品です) 

バーガンディのOR2にKIWIの茶色のポリッシュを使用していると、光の当たり方によってはかなり茶色に見えてしまい、なんとなく気に入りませんでした。

 

また、KIWIのニュートラルのポリッシュを使用していると、だんだんと色がぼやけて白っぽくなっていき、それも気に入りませんでした。(その色落ちを楽しめる人はよいのかもしれませんが…)

そこで、ある時期から下記のサフィール製のポリッシュを使用することにしました。

 

>>【サフィール】 ビーズワックスポリッシュ 【SAPHIR】(Amazonで見る)

 

サフィールのポリッシュにはバーガンディ色もあるので、まずはこれを購入しました。

色の面はもちろん満足だったのですが、なんと予想外のメリットもありました。

そのメリットとは靴に埃が付きにくくなったことです!

クロムエクセルの皮革は、ただでさえしっとりとしていて埃が付きやすかったのですが、KIWIのポリッシュがそれをさらに助長していたのが、サフィール品との比較でよくわかりました。

 

なぜサフィール品の方が埃が付きにくいかというと、溶剤が乾燥した後の固形分がサフィール品の方が固いためです。

固いためか、効果の持続性もサフィール品の方が長いです。(これは乾拭きした後の布の汚れ具合から判断できます。KIWI品を使用した方が色落ちが早いです)

 

ただし、サフィール品の方が塗りにくいということはありません。

この辺は含まれている溶剤量、もしくは皮革に吸収される油分量で調整しているのでしょう。(溶剤は乾燥しますし、油分は皮革に吸収されるため、表面に残るワックス分は固くなります)

ワックス成分の配合と共に、この辺りは各社のノウハウでしょう。

 

ちなみにこの種のポリッシュによく使用されるカルナバワックス自体は常温では非常に硬く、水にも溶剤にも溶けにくいものです。そのため、カルナバワックス以外に様々な混ぜ物が必要です。(実は仕事でカルナバワックスなどをいじってたことがあります。たぶん靴よりも詳しいはず...)

 

というわけで、私は黒用にもサフィール品を購入してしまいました。(ポリッシュを使用した手入れの頻度も減るし、埃も付きにくくなるので)

他の効果としてサフィール品をクロムエクセルに使用したとき、KIWI品よりもギラギラ感が抑えられた光沢になります。(他のオイルドレザーに使用した場合は、光沢についてはそれほど違いを感じていないです)

 

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安藤製靴OR1 & OR2|二つ並べて真上から

 

上のOR1とOR2の写真はサフィール品で磨いた後のものです。

KIWI品よりもサフィール品の方がやや価格が高いですが、サフィール品はその分の価値はありますので、おススメです。

 

 

以上、ご覧いただき、ありがとうございました。

 

 

※下記は本ブログの安藤製靴関連の記事です。よろしければどうぞ!

  ※下記はこのブログ内の安藤製靴に関する記事の一覧とそれらの概要です。

 

下記ではベスタ社のケベックレザーを使用した安藤製靴のチロリアンシューズの紹介や最近のチロリアンシューズに関する検索動向をまとめています。