今回のテーマは “非居住者" の国民健康保険と国民年金の話です。
非居住者の健康保険と国民年金に関して、中国で現地採用で働いている就労者としての視点から、メリットとデメリットを考えます。
非居住者とは?
非居住者 (税法上の) とは、例えば、1年以上に渡り (もしくは見込み) 海外に居住、かつ海外で収入があり、日本で収入が無いケースが該当します。
私のような現地採用で働き、日本で収入が無い人は “非居住者" になります。
細かい説明は省きますが、“非居住者"か“居住者"で納税の仕方が変わります。
この点についてもう少し詳しく知りたい方は、下記の国税庁のWebサイトをご覧ください。
非居住者の住民票
上記の“非居住者" の定義は税法上の定義であって、住民票が日本にあるかどうかは別の話です。
日本で住んでいた地区の役所に問い合わせたところ、税法上の“非居住者" であっても住民票を抜く必要は必ずしもないそうです。
私の場合、住民票を抜くことにあまりメリットを感じなかったため、とりあえず住民票は日本に残すことにしました。
こうすることで日本の国民健康保険や国民年金にも加入したままにできます。
国民健康保険に加入し続けることにより、緊急を要しない場合は日本に一時帰国した際に治療が受けやすくなります。(日本で無収入であれば、保険料は0にはなりませんが大幅に下がります (具体的には月に一万円前後)。ただし、実際に無収入扱いになるまで、タイミングによってかなり時間がかかりますし、国民健康保険の費用も最大で9万円/月 (介護保険料含む) 近くになりますので、自分自身の状況によりよく考える必要があります)
また、地区によっては人間ドックの費用サポートもあり、私の地区では一人当たり年間20,000円ほどの補助金がでますので、帰国時にはこれも利用するつもりです。
国民年金に関しては、住民票を抜いたとしても任意で加入することもできるので、住民票の有無は重要ではありませんでした。
そもそも将来の年金受給に関しては、あまり期待していません。
しかし、国民年金に加入した状態でないと、私にもしものことがあった時、家族が遺族年金を申請できないので、この点を考慮しました。
また、それほど重要ではないかもしれませんが、住民票を残しておくと印鑑証明も使用できたります。(住民票を抜いたとしても、この代わりになる署名証明というものが在外大使館で発行してもらえます)
ただし、日本で住民税の申告 ( 無収入の申告 ) を毎年する必要があります。(役所によると、日本で無収入なので確定申告は不必要ですが、住民税や国民健康保険の計算のために申告が必要とのことでした)
上記の住民税の申告は手間になりますが、代理人 (納税管理人) でも手続きが可能です。
住民票の有無によらない“非居住者”のデメリット
次に住民票の有無によらない“非居住者"のデメリットを気づいた限り挙げてみます。
- 投資信託や株式口座が凍結される (銀行でも証券会社でも同様)
- 銀行のネットバンキングが使い難くなる
まず、投資信託や株式の運用ができなくなります。( 少なくとも私には運用できるところは見つかりませんでした )
銀行のネットバンキングも有料になったり、一部サービスが使用できなくなったりする場合があります。 (都市銀行に比べて、ソニー銀行はサービスが良さそうだったのでこちらに口座開設しました)
また、海外口座からの送受金の手数料もソニー銀行はリーズナブルに見えます。
非居住者かつ住民票を抜いた場合のデメリット
続いて、さらに“非居住者"かつ住民票を抜いた場合のデメリットです。
- 国民健康保険に加入できない
- 個人型確定拠出年金 (iDeCo)の凍結 (積み立てもできず、運用も不可)
- 国民年金を一時脱退した場合、その期間中は遺族年金の申請ができない
- 日本の銀行口座の維持が難しくなる場合がある
まず、国民健康保険に加入できませんが、これは実際にどの程度のデメリットなのかは何とも言えません。(これまで幸運にも特に病院の世話にもなっていないので)
次に個人型確定拠出年金 (iDeCo) の運用 (積み立て) ができなくなります。
私の場合、日本の会社員時代に企業型確定拠出年金で運用していた分を、個人型のiDeCoに移管する必要がありました。
しかし、住民票を抜くとiDeCoの積み立てもできません。( 企業型からの移管分を何らかの商品に変えて、そのまま保有ということになります )
iDeCoによる減税の恩恵はありませんが、iDeCoが運用できないと投資信託は日本では何も運用できないことになります。(通常の投資信託口座も“非居住者"は運用不可で、株式も同じく運用不可です)
さらに銀行の対応も渋く、銀行によっては住民票を抜いた場合は口座の解約を促す旨を明記してあります。(実際に住んでいない国での銀行口座の開設や維持に関しては、世界的に厳しくなりつつあるようです。(香港のケースがよく知られています ))
結論 (追記あり)
というわけで、私としては当面、日本の住民票を抜かずに国民健康保険と国民年金に加入し続けることにしました。
ちなみに下記は風邪をひいて中国現地の病院に行ってきたときの記事です。
この病院は保険が使えませんでしたが、診察料は安く、診察内容も問題ないものでした。(中国に行く前は不安も多かったですが、現地に住んでみて、色々なことを一つ一つ確認していくと、不安も和らいできました)
よろしければ参考にして下さい!
また、海外生活のための国民健康保険の補完として、下記のように海外旅行保険付きのクレジットカードを追加しました。
対策としての有効性はまだ不明なので、実際に何かあったら追記していきます。
海外生活のための国民健康保険の補完
私の場合、少なくとも3ヶ月に一回程度は帰国予定です。
この場合、クレジットカードの海外旅行保険も使用できます。(カードの維持費は民間の駐在向けの海外旅行保険よりも非常に安価です)
クレジットカードの海外旅行保険について、“のむてつ”さんの運営するサイト“海外旅行保険節約研究所”が非常に詳しい説明や比較があり、大変勉強になりました。
今までクレジットカードは単に決済の道具としか考えていませんでしたが、“のむてつ”さんのサイトで考え方が変わりました。(切り口がズバリ海外生活のためのクレジットカードの活用方法だったので、ユニークかつ私の状況にマッチしていました)
結果として私は海外旅行保険 の増強(特に傷害・疾病治療費の増強) のため、元々持っていた三井住友VISAゴールドカードに加えて、セゾンブルー・アメックスカードを追加しました。
上の二つのカードを合わせても年会費は約7,000円で、補償を考えると非常にリーズナブルだと思います。(また、セゾンカードは三井住友カードではポイントが付かないモバイルSuicaのチャージや国民年金の支払いでもポイントが付与され、別の点でも補完ができました)
傷害・疾病治療費の増強というのが肝心で、傷害・疾病治療費はカード1枚分で不足した場合、他のカードの補償を合算できます。(なお、死亡保険分は合算できずに最も高いカードの金額になります)
ちなみにセゾンブルー・アメックスカードを申請した際は無職だったので非常に不安でしたが、無事に発行してもらえてホ~~としました。(カードは会社を辞める前に作るべきでした...)
なお、クレジットカードをつくる際にそのカードの公式ホームページから入会申請すると、他サイトから申請したときに比べて入会特典が少ないことが多いです。(例えばポイントの付与など)
時間があればいくつかのサイトを比較してから、入会申請した方がお得かもしれません。
以上です。ご覧いただき、ありがとうございました!
参考までに、下記は非居住者の個人型確定拠出年金 (iDeCo) への加入を検討した記事です。
下記は、2017から始まった新制度における中国の就労ビザ (Zビザ) の取得体験をまとめた記事です。ご参考までに。(現在、中国在住です)