- 中国の外国人就労許可制度で有利な日本の大学は?
- 外国人労働者のランク分けは珍しいことか?
- 中国の外国人就労許可制度のランク分け
- 日本で該当するハイレベル大学とは?
- 今後、高齢の外国人は働きにくくなる可能性もあり
中国の外国人就労許可制度で有利な日本の大学は?
2017年から運用が始まった中国の外国人労働者に対する就労許可制度をご存知でしょうか?
自分自身が中国で働き始めるということもあり、今回、この許可制度をできるだけよく調べました。
この就労許可制度では外国人をA、B、Cの3段階にランク分けしていますが、そのランク分けの加点要素の一つに出身大学があります。
上記のランク分けにはポイント計算を使用していますが、高水平 (ハイレベル) 大学出身であると加点があることがわかりました。
私が日本語サイトを調べた限り、このハイレベル大学に関しての具体的な説明が見つかりませんでしたので、今回、さらに中国のサイトを調べた結果をここに記しておこうと思います。
具体的には、ハイレベル大学とは日本ではどのような大学が該当し、どのような機関の調査・分類に基づくものかを調査しました。
結論から言うと、日本で該当する大学は “旧帝国大学を中心とする国公立大学20校+私立大学3校”が抽出されていて、上海交通大学の大学研究センターの調査・研究に基づいていました。
調査結果の詳細に関しては後述していきます。
外国人労働者のランク分けは珍しいことか?
ちなみにポイント制の外国人労働者のランク分けは特に中国に限ったものではなく、日本でも2012年から外国人労働者向けに、中国と似た感じのポイント制の出入国管理の制度が既に始まっています。参考までに下記は日本の法務省の当該サイトです。
というわけで、ポイント制の外国人労働者のランク分けは特に珍しいものではないようです。
中国の外国人就労許可制度のランク分け
中国では新しい外国人の就労許可制度の運用開始と共に、その就労管理サービスのWebシステム (外国人来华工作管理服务系统 (Service system for foreigners working in China)) の運用も開始されました。( 中国現地の企業はこのWebシステムを通じて、外国人工作 (就労) 許可通知などを申請することになります )
上記のWebサイトに掲載されている中国の就労許可制度に関する通知 “中国における外国人労働者の分類 (試行)” には、下記の表1のような外国人労働者をA、B、C類の3ランクに分類するためのポイント要素とその加算基準が掲載されています。
- A類 (推奨):ハイエンド人材 (中国の発展に必要な専門的かつ特殊な外国人)
- B類 (制御):専門人材 (A類ほどではないが中国の発展に必要な専門的な外国人)
- C類 (制限):その他の人材 (国の政策に基づいて居住を制限される外国人)
上記の中国の就労許可制度に関する日本語での詳しい説明は、JETRO (日本貿易振興機構) のサイトにありましたので、興味のある方は下記リンク先をチェックして下さい。
外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用 | 中国 - アジア - 国・地域別に見る - ジェトロ
今回、上記のA~C類に外国人労働者を分類する基準の一つであるハイレベル大学 (表1中の赤字)に関して、さらに調べました。(私の調査した限り日本語ではネット上に見当たりませんでしたので、中国のサイトを調べました)
ハイレベル大学以外の加点要素として、フォーチュン・グローバル500にリストアップされている企業での就業経験もあります。
毎年、この企業リストは更新されていて、目安としては年間売上が3兆円以上の大企業であればリストアップされている可能性が高いです。
興味がある方はフォーチュン・グローバル500 - Wikipediaもご参照ください。
具体的には、上記のハイレベル大学とは日本ではどのような大学が該当し、どのような機関の調査・分類に基づくものかを調べました。
最近、海外機関の発表する大学ランキングにおける日本の大学の地位は徐々に低下しているように見えるので、個人的に気になったということも背景にあります。
調査の結果、日本で該当する大学は “旧帝国大学を中心とする国公立大学20校+私立大学3校”が抽出されていて、上海交通大学の大学研究センターの調査・研究に基づいていました。(予想よりもたくさんの日本の大学がリストアップされていました!)
具体的な日本で該当する大学に関しては下記で説明します。
日本で該当するハイレベル大学とは?
今回、日本語のサイトを調べた限りではハイレベル大学に関して記載が見つからなかったので、先の中国の就労管理サービスのWebサイトを調べたところ、ハイレベル大学のリストをようやく見つけることができました。
下記がそのリストから抽出したハイレベル大学に分類されている日本の大学です。(2018年4月現在のリストです。今後、更新される可能性はあると思いますのでご注意下さい)
※2019年2月現在、リストに変更はありませんでした。
上の表2から明らかなように、慶応大学、東京理科大学、早稲田大学以外は全て国公立大学でした。
一般的には国公立の方が理系は研究環境が充実していると言われていますが、上記の私立大学はいずれも理系の評判も良い大学です。
そのため、なんとなく理系っぽい面が優れていると、比較的このランキングでは上位に来ると言えそうです。(あってもよさそうな国立の一橋大学 (文系学部のみ) も見当たらないですし...)
また、この表2の並び順は16番目の早稲田大学まで、上海交通大学の大学研究センターが発表している「世界大学学術ランキング (The 2016 Academic Ranking of World Universities, ARWU2016) 」と完全に一致しています。
この上海交通大学のランキングでは上位500校までが公開されていますが、その中に表2中で17番目の広島大学以下の記載は見当たりません。そのため、上記のリストはおそらく上海交通大学のランキングのおそらく上位600位ぐらいまでを抽出したものだと推定します。
上記のリストが公開された時点で2017年度版の上海交通大学のランキングは公開されていませんでしたので、2016年度版が最新の状況でした。今後、上海交通大学のランキングの更新に応じて、上記のリストも改訂されていく可能性があります。
今後、高齢の外国人は働きにくくなる可能性もあり
今回の表1の加点項目を見てわかるとおり、項目8の年齢に関しては60歳以上が0点になっています。また、B類の専門人材も原則60歳以下であることが前提です。
高齢者に関しては中国が外国人労働者を制限しようとしているようなので、今後、日本でリタイア後に中国に出稼ぎに行くというスタイルは減る方向でしょう。
リタイア後に行くとすれば、表1の項目1に該当するような直接A類に分類されるような方が中心になるはずです。
例えば、高給で現地に迎い入れられる方はこのケースに該当するのでしょう。
しかし、高給の基準は就労地区平均の6倍以上と具体的な基準も設けられているので、今後、中国の平均所得が上昇するにつれ、高給の基準を満たすのは難しくなる可能性もあります。(中国は法律も変わり易いので、この辺の動向は今後も注意が必要です)
個人的には元気なうちにバリバリ働いて、年をとったら給料はともかくマイペースで働きたいので、年とったら中国は厳しいかもしれません...
以上、ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました!
下記は中国の就労ビザ (Zビザ) の申請に必要なものを具体的にまとめた記事です。興味がある方は、どうぞご覧ください!